脳の使い方を変えるWeメソッド®WSC ホールシステムコーチング®Whole System Coaching

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コーチングの本質、探求

2024.06.01

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コーチングの目的は何でしょうか?
一般的によく耳にする「ゴール・目標達成」でしょうか?
それらはコーチングの目的の一つではあります。今月のコラムは、コーチングの本質について、探索・探求します。

1.コーチングの本質的な目的は?

コーチングの本質的な目的は何でしょうか?
目標を達成すること?
やりたいことを実現すること?
それともビジョンを実現すること?
それらは、目的の一部です。
コーチングの本質的な目的は「成長」と「幸せ」の「探求」でしょう。
目標達成やビジョン実現にむかうプロセスでのクライアント(人と組織)の「成長」に焦点をあて、「幸せ」を「探求」していくことが目的ではないでしょうか。
つまり、コトではなく、人・存在(個人または組織自身)の成長のための内的な探求(内省的な探求)です。
内的な探求とは、自分(the Who)について探求し、知ること。

「The art of dialogue in coaching(コーチングにおけるダイアローグ)」で 著者の心理学者、Reinhard Stelter博士によると、
「クライアントの目標達成志向のコーチング」を第一世代、
「システミックな組織開発に向けたコーチング」を第二世代

そして、現在のコーチングは第三世代に入っていると紹介しています。
第三世代は、コーチングによる対話は「協働して振り返るパートナーとしての機能」
内的な探求です。
詳しくは、WSCコラム「コーチングの新時代」2021.05.01をご覧ください。

2.コーチングの変化

現在、コーチングは、成長志向で、パートナー関係での内省的な探求です。
コーチングが変わってきたと書いていますが、元々コーチングは、人の成長、そして、幸せ実現を探求するためのものです。
1994年にアメリカで始まったコーチングは、1997年に日本に入ってきた当時(コーチングという言葉も初めて、コーチという職業も初めて、認知ゼロの時代です)、目標達成志向のコーチングが具体的でわかりやすいため、ひろがった/伝わっていったと推測します。
今年2024年で30年目。1997年に日本で始まったコーチングは、今年27年目です。
コーチングは成熟しています。
行動のことばかり扱うコーチングは、コーチングではありません。それは、単なる行動管理です。場合によっては、詰問のやり取りになっているかもしれません。それがコーチングだと一人歩きして
過去、「コーチングって、何だかね・・・。詰められてる。。。」みたいな噂が出たりしていたのも事実です。成長志向で、変容・変態を共創するには、それをつくり出すプロセスと関係性が重要です。

3.内的な探求 「気づき」から「学び」へ

内的な探求(内省的な探求)とは?
難しく考えがちですが実はとてもシンプルです。
ホールシステムコーチング®︎(WSC)では、WSCコーチウェイの「Holistic Approach/全体的にアプローチする」の「コト/問題ではなく、人を聴く」アプローチです。

2019年前(ICFコアコンピテンシー改訂前)は、探求するために、「気づき」を聴くだけで良かったのですが、2019年のコアコンピテンシー改定後は、「気づき」を聴くだけでは、コーチング(コーチの仕事)としては、不十分となりました。
「気づき」に加えて、さらに深く探求するために何が必要なのでしょうか?

それは「学び」です。
学んだこと「何/what」に加えて、自分自身について学んだこと「誰/the who」を探求します。

コーチは、「クライアント自身(the who)」についての「学び」を質問します。
「自分自身について学んだことは何ですか?」

コーチングでは、気づき(Awareness)と学び(Learning)を扱います。
コーチングの気づきは、特に、自分を知る(self-awareness)ことを探求します。
学びとは、「気づいたこと、発見したことをどのように活かすか?」です。
その気づきを活かして、意識的かつ継続的に、行動・経験を通して習得/体得していくプロセスです。

気づきをそのままにしておいては、もったいないですし、何も変わりません。
ただ、気づいただけで終わってしまいます。気づきを学びに変える必要があるわけです。

ある人が「気づき」と「学び」について、こんな話をしていました。「気づき」は、10年前位から、研修中や研修後のアンケートで「気づいたことは何か?」という質問があるので、「気づき」については答えることができるが、「学びは答えにくい」という声です。
(「気づき」は、日本では25-30年くらい前から研修やコーチングなどで使われている言葉です)
そうなんです。「気づき」については、問いかけに慣れているのですが、さらに探求を深めた「学び」については、最初はなかなか答えにくいものです。

「自分自身について学んだことは何ですか?」
さらに、「人/the who」についてどんな質問ができそうですか?

「あなたは自分自身はどんな人だとわかりましたか?」
「私ってどんな人だと発見しましたか?」
「あなたは誰ですか?」
「ご自身の価値観◯◯の自分自身への影響は何でしたか?」
「自分自身についての気づきをどのように学びに変えますか?」 

チームに対しては、
「私たちの学びは何ですか?」
「私たちはどんな存在ですか?」
「価値観◯◯の私たちへの影響は何でしたか?」
「それら気づきをどのように私たちの学びに変えますか?」など

まとめ

コーチに限らず、リーダーや人と関わる人は、「モノゴト」だけではなく、「人」を話題にしましょう。
あなたは、「人」にアプローチできていますか?

「Coach the Person, Not the Problem」
「問題ではなく、人をコーチする」
– Marcia Reynolds/マーシャ・レイノルズ-

これは、世界的コーチの第一人者マーシャ・レイノルズ氏 (MCC)の
原書タイトルです。(日本語訳本のタイトルは「変革的コーチング」)
コーチングの本質が本のタイトルになっています。

「コト/問題ではなく、人を聴く」は、ホールシステムコーチング®︎(WSC)で大切にしていることです。
ぜひ、「成長」と「幸せ」を探索・探求するコーチングジャーニー(旅)を楽しみましょう。

記事の著者

生嶋 幸子Sachiko Ikushima

  • ホールシステムコーチング®共同開発者
  • 国際コーチング連盟マスター認定コーチ(MCC)(関西女性初)
  • ホールシステムコーチング®認定プロフェッショナルコーチ

株式会社コーチ・アイエヌジー 代表取締役
自社開発したホールシステムコーチング®が2014年国際コーチング連盟(ICF:本部アメリカ)からコーチ・トレーニング・プログラム(ACTP)として日本で3社目に正式に認定される。2000年よりコーチとして活動。エグゼクティブコーチング、企業向けプロジェクトコーチング、コーチ養成スクールなどを中心に人と組織の変革を行う。
2017年国際コーチング連盟グローバル・カンファレンス(ワシントンD.C)でアジア人唯一のスピーカーを務める。