脳の使い方を変えるWeメソッド®WSC ホールシステムコーチング®Whole System Coaching

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心技体

2020.04.01

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「心技体」とは何でしょうか?
「心 技 体」は古くから武術の習得によく伝わる言葉です。そして、スポーツの世界でもよく耳にする言葉です。また近年、マインドフルネスがグーグルでの導入をきっかけに、世界中のビジネスパーソンの間に拡がりました。
「心 技 体」は、現代の私たちの日常にも役に立ちそうな概念だと感じることが多くあります。このコラムでは、「心技体」を探究していきましょう。

1.「心技体」とは?

「心技体とは何か?」ときかれたら、何とこたえますか?
文字通り、

・「心」は:こころ
・「技」は:わざ
・「体」は:からだ
です。

最近では英語のほうが理解しやすい方も多いのではないでしょうか。
英語では、

・「心」は:メンタル
・「技」は:テクニカル
・「体」は:フィジカル

ホールシステムコーチング®(WSC)では、「技」は:テクニカルとは訳さず、「スキル&アート(Skill and Art)」と訳しています。技は、単にテクニックではなく、アート(芸術)が含まれていると考えるからです。

さて、「心技体」を1つの単語として扱うようになったのには、どういう意図があるのでしょうか?

「最初に言い出したのは誰なのか?」
柔道家の道上伯氏、「柔術独習書」の著者である古木源之助氏、など、説は何通りかあるようです。
今回はその追求を省きます。
それぞれに共通している点を、私なりに説明します。

◆この3要素のバランスが整っているときには、望む成果を得やすい。
◆逆にこの3つがアンバランスなときは、うまくいかない。
◆アスリート(武術やそれ以外)だけではなく、何ごとにもあてはまる。

※「技」はもともと「氣」であったという説もあるようです。

「心技体」という話題になれば、決まって思い出すことがあります。小学生の頃に練習した「跳び箱」や「高飛び」です。
誰に教わったわけでもないのに、走り出す前にはゴールを見つめ、何度か深呼吸みたいなことをしていました。クラスメイトの多くがそうしていたと記憶しています。

今思えば「心技体」の概念を知らずとも、その方法で3つのバランスが整ったのでしょう。
するのとしないのとでは、明らかに結果が違いましたから。

2.「心技体」のバランスを整えるには?

ここでは3つのバランスを整える方法についてお伝えしたいため、
「心」と「技」と「体」のそれぞれを磨く方法については割愛します。

バランスが整うとは、どんな状態をいうのでしょうか?

ここ近年で注目を浴びている「マインドフルネス」をご存知でしょうか?
『今、ここに、ただただ、集中している』という意味と和訳します。
そう、「心技体」のバランスが整っているのと同じ状態です。

アメリカでは始業前の決まりごととして、グーグル、インテル、マッキンゼー、フェイスブック、ゴールドマンサックスといった名だたる企業のほか、政府機関でもマインドフルネスを積極的に取り入れています。

◆3つのバランスを整える方法として、簡単にできるものをご紹介します。

(1)深く腰をかける(椅子ならば背もたれから少し前に/床ならば胡坐をかくように)
(2)手を膝の上に軽く乗せる(掌を上向きにするのがよい)
(3)目は半分程度に開けておく
(4)まずは息を一度すべて吐き出す
(5)鼻からゆっくりと息を吸う
(6)一度軽く止める
(7)口からゆっくりと吐き出す
(8)自分の呼吸にただ意識を向ける
(9)他のことを考えてしまっても、そっと横に置いて呼吸に意識を戻す
(10)4〜9を何度か繰り返す(最初は3分から始めて、徐々に長くできるようにする)

おや?この方法、何かに似ていると思いませんか?
そうです、日本にも古くから伝わる『禅』や『瞑想』です。
小学生の頃、跳び箱を飛ぶ前にこの時間があったなら、私はあと2段高く飛べたことでしょう。

3.「心技体」とコーチング

『緊張している人を見ると、自分まで緊張してくる』
『笑っている人を見ると、こちらまで笑ってしまう』
このような現象は、人と人とが鏡のような働きをするということに起因しています。

さぁ今からコーチングというときに、目の前にいるコーチが何やらソワソワしていたり、
上の空に見えたり、今ここに集中していないなぁと感じたら、クライアントはどうなるでしょう?

国際コーチング連盟(※ICF:International Coaching Federation)の定める
コア・コンピテンシー・モデルの中に、
『Maintains Presence:今ここに在り続ける』という項目があります。

コーチは毎回のセッションに全力を注ぎます。
「心技体」がバラバラな状態で臨むコーチは、失格だと言っても過言ではありません。
「心技体」の重要性を実感しているコーチは、何かをする前に限ったわけではなく、
毎日のルーティーンにとり入れていることでしょう。

クライアントさんの「心技体」がバラバラだと感じたときは、そのことを率直にお伝えし、
共に整えることもコーチの重要な仕事と言えます。

まとめ

望む成果を得るために、「心技体」のバランスを整えることをお薦めします。
私は先日「縄跳び」を練習している小学生女子に「心技体」を伝えて実践してもらいました。
その日の目標回数を大きく上回る成果を得ることができました。
ぜひ、日常に「心技体」を使ってみてください。

記事の著者

船木 優子Yuko Funaki

  • WSCコークリエイター
  • 国際コーチング連盟プロフェッショナル認定コーチ(PCC)
  • ホールシステムコーチング®︎認定プロフェッショナルコーチ

メーカー企業にて営業アシスタントを経て、新人スタッフ育成を学び担当する。テーマパークの開業準備を経験した後、人材育成の部門にてマネジメント、キャリアディベロップメント、アルバイトスタッフ育成など幅広く携わる。2004年にコーチングと出会い、社内に導入する。その後、外食産業系企業で店長や女将業の現場経験を積み、2013年に独立。現在は、プロコーチとして企業の人材育成、組織開発を行っている。