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人材(人財)育成とコーチング

2023.05.01

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約3年間のコロナ禍の期間からようやくコロナ前に戻りつつある今日、各企業、飲食店は「人材不足」に悩まされていると言われています。2023年度の各企業の入社式も、新入社員の帰属意識が高まるような仕掛けづくりをしていると感じます。
「人が育つための育成とは?」「チーム力が上がるための人材育成とは?」について、今の時代に大切なアプローチを紐解いていきましょう。

1.侍ジャパンが世界一になった背景

2023年3月ワールド・ベースボール・クラシック(以下WBCと明記)で、日本が14年ぶりに世界王者になりました。魂のこもった試合をご覧になって、感動した方が多いことでしょう。
世界王者に導いた栗山監督のインタビューでとても印象的な場面がありました。

記者:「時代の違う若い選手に対して、どのようなコミュニケーションをとっていたのですか?」
栗山監督:「時代とか関係なく、選手に真正面を向いて本当に思っていることを話すと、必ず伝わります」
これは、栗山監督が若手、ベテランという隔たりなく、誰に対してもオープンネスマインドで関係性を構築した証です。

栗山監督の著書:栗山ノートに、次の言葉が書かれています。
“目標を達成するスピードは、人によって異なります。すぐに答えを見つけられる人もいれば、時間をかけてじっくり正解に辿りつく人もいる。一生懸命に頑張っている人の背中をドンドン押すのではなく、それぞれのペースを尊重して見守る。”

コーチングで言うと、目標を達成/実現するためには、コーチ(ここで言う監督のこと)とクライアントは上下関係ではなく、コークリエイト(共創)の関係性であることが大事です。そして、コーチングでも言動一致で、大事なことを体現する(デモンストレート)ことが求められます。

もう1人、WBCのチームをまとめた人としても貢献したダルビッシュ有選手。
最初の宮崎キャンプから参加して、選手1人1人に声がけをする、ピッチャーにアドバイスをするなど、選手に対して細かい配慮をしていました。
WSCの選手に選ばれた時、断ることを決めていたようですが、大谷翔平選手が「一緒に優勝を勝ち取りたい」という熱いメッセージを送り、それがダルビッシュの心を動かしたと言われています。

この2つの事例で言えることは、自分の周りの人との関係性を大切に育むコミュニケーションを体現したチームづくりではないでしょうか。栗山監督、ダルビッシュ選手が「人」を大切に、「人が財産」というチームづくりを一人ひとりの目線に合わせて、フラットな関係性で行ったのだと感じます。

2.人は財産

「じんざい」は、「人材」と「人財」、2種類の書き方があると言われています。

「人材」は「才知ある人物。役に立つ人物」という意味を持ち、企業における「人材」は、仕事を遂行する能力を備えていて、かつ企業活動に貢献する才能のある人を指します。仕事をしっかりとこなし、組織のなかで適切な対応をとれる人物と言い換えられるでしょう。
近年は、「人材」の代わりに「人財」という漢字を使う企業もあります。2021年に全面改訂された三省堂国語辞典に「人財」という言葉が収録され、話題となりました。
「財」という字には宝、値打ちのある物、金銭といった意味があるため、人財は企業が従業員を宝だと考えているという思いが込められた言葉だといえます。
*BIZREACH 「人材」と「人財」はどう違う?企業の成長につながる人への投資とは」より一部引用)

仕事を遂行する能力をつけて(スキルの向上)、チームに貢献できるプレセンス(人間力)を身につける。それを日々、実践(行動に起こす)し続けると、チームにとって「宝」の存在になると認識しています。

まさしく、人は財産であると私は認識しています。

3.人を育てる立場の人材のあり方

チーム力が上がる「人材・人財育成」を行なうには、どのように育成すればいいか?
を紐解いてみましょう。

人材・人財育成に必要なことはたくさんありますが、今回は人材・人財育成に必要な3つの力として、
下記の通り、まとめました。

(1)コミュニケーション力
岩波書店の『広辞苑』ではコミュニケーションという言葉は、「社会生活を営む人間のあいだで行われる知覚や感情、思考の伝達」と定義しています。互いに意思疎通を図る為には、オープンネスに会話ができる関係性であることです。

(2)リーダーシップ力
リーダーシップとは、組織(チーム)をまとめ、その目的に向かって導いていくことを言います。
チームコーチングで、チームメンバーの意見がまとまらない時などは、リーダーシップ力を出して軌道修正を行う必要があります。

(3)マネジメント力
マネジメント力とは、組織(チーム)の成果を上げるためにヒト,モノ,カネなどの経営資源を効率的に活用し、リスク管理を行ない、設定した組織(チーム)の目標やミッション達成を目指すことができることを言います。
リーダーシップ力は組織(チーム)の目標達成のためにメンバーを導いていく能力であるのに対し、マネジメントは成果を上げるための手法を考え、組織を管理する能力のことを意味します。
上記の3つの力を持つ人が、チームコーチングを行うとチームとしての目標がはっきりして、それを実現するための、行動までも決めることができます。
運動指導者の人材育成する講師をしている私も、上記の3つの力をつけ、チームコーチングを学ぶことで、スタッフが一丸となって決めた目標を達成する行動変容が起きています。
とてもいい傾向であることを感じています。

まとめ

コーチングと出会うまでの、私の人材育成法は、自分の主観を相手に押し付け、相手の考え、意見には耳を傾けない。というトップダウンのやり方でした。また、言葉のボキャブラリーも少なく、押し付ける。という方法しか持っていませんでした。コーチングを本格的に学び始めてから、学んだことを実践すると、相手の反応も今まで見たことがない応えが返ってきました。コーチングを学びはじめて、コミュニケーション力、リーダーシップ力、マネジメント力がついてきたことと、それらを場面に応じて取り扱えるようになりました。

コロナ禍の時代が終わり、人と人との関わりが、コロナ禍以前よりも、大切な時代になってきていると感じています。人材・人財育成のためにはもちろんのこと、人と良好な関係性を創るためにもぜひ、コーチングを学んで欲しいと考えています。

記事の著者

梅本 道代Michiyo Umemoto

  • WSCコークリエイター
  • 国際コーチ連盟プロフェッショナル認定コーチ(PCC)
  • ホールシステムコーチング®︎認定プロフェッショナルコーチ

運動指導と人材育成のエキスパート
運動指導歴30年以上。運動指導者として、また人材育成&運動指導者育成講師、養成コースの企画事業部責任者として活動。現場での運動指導はグループレッスン10本/1週間、パーソナルトレーナーでは約1,000名のクライアントの運動指導実績を持つ。
2020年11月に国際コーチング連盟プロフェショナル認定コーチ(PCC)を取得。コーチングを普及するための草の根活動を継続中。