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新しい就活とコミュニケーション

2023.06.01

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コロナ禍を経て、大学生の就職活動(以下、就活と表記)に変化が起きています。
以前は黒色スーツの就活生たちが集団で活動していましたが、最近は見かけてもチラホラです。

また、帝国データバンクの調査によると、採用活動において求める人材像は
「コミュニケーション能力が高い」(42.3%)
「意欲的である」(42.2%)
が4割超でした。コミュニケーション能力はなんと16年連続で第1位です。
企業が求める新人像は、本当に変わらないものですね。

そんな中、私の娘はこの春、就活を終えました。
息子はそのコロナ禍前の3年前に就活を体験、かなり苦労したのを覚えています。
比べると、ずいぶん変わったなあ、と感慨深いです。
今回は最新の就活について、親としての経験を踏まえながらコミュニケーションの視点で検証します。

1.娘の就活(コロナ禍後)

娘の就活は大学2年生の冬、インターンシップの申込みから始まりました。かなり早いスタートです。

就活において、情報収集は今も昔も非常に重要な要素です。そして情報取得の方法は進化しました。
以前は王道だった、複数の会社が同一会場に集まる「合同説明会」には参加せず、ほとんどオンラインで活動しました。
娘は大学のキャリアセンターだけでなく、リクルーターや就職エージェント、マイナビなどの求人サイトや転職者サイトも活用していました。
また、インターンの同期メンバーとは、ラインで情報を共有し、お互いに助け合っていました。
彼らはライバルではなく、仲間として協力したのです。

面接後には、リクルーターやエージェントは電話で面接での良かった点や改善点について連絡をくれるのも新しい傾向です。
「このエピソード興味深かったです」
「志望動機がインパクト弱いので、もっと考えたほうがいいかも」
具体的なフィードバックがあり、翌日以降の面談にすぐ取り入れていました。

娘曰く、面接でのフィードバックは電話で行われ、文章で残すことはほとんどありません。
社員からも「わが社の面接での印象を教えて」と学生からのフィードバックも求めてきたそうです。
お互い「ここだけの話」「ホンネの情報」を交換しあう、秘密を共有するような関係になっていったそうです。
学生たちは就活を通じて人とのコミュニケーションや協力が成功率を高めることを実感しました。

2.息子の就活(コロナ禍前)

ここでコロナ禍前の息子の就活を思い出すと、娘とは全く別物のような印象を受けます。
3年前、コロナ禍前の息子の就活では、就活は大学のスケジュールに則って3年生の年明けに一斉に始めていました。
親も大学の就職準備説明会に呼ばれ、説明を受けた記憶があります。
情報収集はマイナビなどの就活サイト中心で、合同説明会にも当然参加し、一日かけて各社ブースを回っていました。
正に体力勝負です。

そこでご縁あった会社と現地で試験、面接を受けます。会社への移動で半日かかることもしばしばでした。
掛け持ちで就職試験を受けていると、大学の授業はほとんど参加することができません。
また、合否連絡はあるものの、フィードバックはありませんでした。
俗にいう「お祈りメール」が届くのみです。
活動を続けていてもどのように改善すればよいかわからず、「なぜ不合格だったのか」を悶々と悩み続ける日々です。

とはいえ、手探りの試行錯誤を繰り返すことで、学生たちは就活を通じて努力やチャレンジの重要性を学びました。
そして、千本ノックや打席に立ち続けることが成功率を高めることを実感しました。

3.コロナ禍前後での変化

コロナ禍におけるオンライン活用の風潮を経て、就活にも変化がありました。
それは以下の3つです。

①就活のDX化
コロナ禍でオンライン化が進み、就活で
・グループディスカッションはZoomで実施、成果物はパワーポイント
・履歴書のオンライン提出
・自己PRの動画
・面接は最終面接含めオンライン(本社にいったことなく就活終了)
が当たり前です。学生がデジタルを使いこなせるかどうかのチェックも兼ねられます。
また、学生側からも、企業のDX化を測ることが可能になり、会社選びの一助となりました。
娘は手書きの履歴書求められた会社には即、断りを入れていました。

②活動目的の変化
コロナ禍前は「現地に赴く」「手書きの履歴書」など、手間をかける=誠意でした。
どれだけ汗をかいたのかが評価されており、時間をかけたことが自慢になりました。

それが現在では企業側、学生側双方が
「本当は何がしたいのか?」
「本当はどんな人材を求めているのか?」
を共に探求することに注力するようになりました。
先輩社員とのオンライン交流会が激増したのも象徴的です。
沢山対話することで、お互いを知ることにエネルギーを注ぐようになりました。

③関係性の変化
就活が「選び選ばれる関係」から「共創関係」になりました。
オンライン面接は「ビジネスマナーの上下関係」は緩和され、ある程度フラットな関係性を構築することができます。
また、PC画面越しの対話であるため、企業訪問でのアウェイ感がもたらす緊張も少なくなりました。
そして、学生、企業側ともに面接のフィードバックがあることで、行動変容に活かし面接の質を向上することができました。

4.そして変わらないもの

今までは変化について述べてきましたが、変わかないものもあります。
娘は就活が終わってから、近所で飲食業のアルバイトをしようと応募しましたが、全敗でした。
「対面」「リアル」「手書きの履歴書」が求められるところには適応できなかったのです。
お店側がフィーリングや熱意重視で判断したり、一方的に労働条件の質問をされることに娘も違和感あったそうです。
コロナ禍でコミュニケーションが変わったとはいえ、接客業ではまだまだ努力やチャレンジが貴ばれるようです。
進化は均等に来るのではなく、地域差や時差があると感じました。

まとめ

就活過渡期に親として、変化の真っただ中にいたことは貴重な経験でした。

就活は「アナログからデジタルへ」「上下関係からフラットな関係へ」大きく変わりました。
ここまで変わると、もはや進化です。後戻りすることはないと思われます。
新しい時代に、学生も企業もしなやかに変化を重ねていくことでしょう。
そして新しい就活は、コミュニケーション重視の共創関係にシフトすることでしょう。

記事の著者

矢頭 聖子Kiyoko Yatoh

  • WSCコークリエイター
  • 国際コーチング連盟プロフェッショナル認定コーチ(PCC)
  • ホールシステムコーチング®︎認定プロフェッショナルコーチ

コーチ&ファイナンシャルプランナー。
元金融系システムエンジニア。2005年に独立。
現在は経営者や管理職、就職・転職・起業志望者を対象にコーチングとファイナンシャルプランナー両方のスキルを活かした個別相談やセミナーを実施。
また中高生やその保護者へのキャリア教育、金銭教育にも取り組んでいる。