脳の使い方を変えるWeメソッド®WSC ホールシステムコーチング®Whole System Coaching

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大人も子どもも「探求」しよう!

2025.12.01

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先日、ある学校で1年生と6年生の「探究学習のサポーター」をしてきました。

探求学習とは生徒自身が問いを立てて、情報収集や分析、他者との協働を通じて課題解決に取り組む学習方法です。従来の知識を暗記する学習とは異なり、「課題の設定」「情報の収集」「整理・分析」「まとめ・表現」といったプロセスを繰り返し、探究的な学びを深めていきます。
この学習法は、変化の激しい現代社会で求められる問題解決能力や主体性、批判的思考力などを育むことを目的としています。

その学校では1年生から探求学習を行っています。
各自テーマを見つけ、ICTツール、本などを使いながら学びを深めていくスタイルです。
そこで目にしたのは、目をキラキラさせて「なんで?」「どうして?」と問い続ける小さな探究者たち、自分のイメージを具現化するために段ボールなどを用いて一生懸命工作する子供たちの姿でした。

今回は、教室で感じた熱気と、そこから見えてきた「私たち大人の在り方」について、一緒に探究していきましょう。

1.探求というサポート

皆さんは、子どもに「これ、なぁに?」と聞かれたとき、どう反応しますか?
すぐに答えを教えてあげたくなりますか?
それとも、スマホで検索して正解を渡してしまいますか?

今回、私が参加した「探究学習サポーター」の役割には、ある面白いルールのようなものがありました。
それは、「答えを教えるのではなく、一緒に考えること」。
先生やサポーターの大人たちも、子どもたちに対して「先生」というよりは「ファシリテーター」や「伴走者」として関わっています。

教室(といっても、壁のないオープンな空間なのですが)では、子どもたちが思い思いのテーマに取り組んでいました。
ある子が私に聞いてきました。「ねぇ、どうやったらこの箱、もっと高く積める?」
私は喉まで出かかった「テープで留めればいいんじゃない?」という言葉を飲み込みました(笑)。
そして、コーチングのスイッチを入れて、こう問いかけてみました。
「〇〇ちゃんは、どうやったらいいと思う?」 「他の形と組み合わせてみたらどうなるかな?」
すると、子どもは私の想像もしなかった方法を考え出し、取り組み、失敗し、また作り直して、最後には満面の笑みで完成させました。
そのプロセスを見たとき、私が答えを言わなくてよかったと心から思いました。

「教えない」ことは、相手の可能性を信じて「待つ」こと。
これは、私たちが普段行うコーチングや人材育成と全く同じ構造がそこにあると身をもって感じました。
日本の今までの教育は、教える、教わるが中心でした。そこに探求という「教えない」が加わったら、こんな風になるんだと、自分のときにはなかった、新しい教育を体感しました。

2.正解のない問いを楽しむ力

探究学習の現場を見ていてハッとさせられたのは、子どもたちが「正解のない問い」を恐れていないことです。
私たち大人は、どうしても「効率」や「正解」を求めがちです。
社会に出れば、数字や成果、間違いのない手続きが求められる場面も多いでしょう。
そのため、知らず知らずのうちに「失敗しないように」「最短ルートで」という思考の癖がついているかもしれません。
「もし、間違ったらどうしよう?」という不安が、行動を制限してしまうこともあります。

でも、1年生の子どもたちは違いました。
「もし、空が飛べたらどこ行きたい?」「もし、虫と話せたら何て言う?」
そんな、「もし~だったら(as If)……」の世界を、制限なく、自由に飛び回っています。
彼らにとって、わからないことは「不安」ではなく「ワクワク」の入り口なんだなぁと感じました。

「もし・・〇〇だったら・・」は、私が大好きな質問です。
子どもたちの姿を見て、改めて思ったことは、 私たち大人が忘れてしまっているのは、この「わからなさを楽しむ力」、いわば「ネガティブ・ケイパビリティ(答えの出ない事態に耐えうる能力)」なのかもしれません。

AIが進化し、正解らしきものを数秒で出してくれる時代だからこそ、「答えが出ないこと」を面白がり、自分なりの答えを創り出していくプロセスそのものが、人間ならではの豊かさなのだと感じます。
また、別の事例では、ある子がインターネットで調べてみたら、すぐに答えが出てくるため、ある程度の知りたいことがわかったとき、サポーターの方が「じゃあ次は本で調べてみようか。」と声がけをされたと聞いて、サポーターの役割は、視点を変える、視点を拡げる。まさにコーチの視点で関わることだと感じました。

3.大人も「探究」しよう

サポーターを終えて学校を出たとき、私自身が楽しかったと素直に感じました。
それは、私自身が子どものころ、自分自身も何気なくしていた「探究」の楽しさを思い出したからだと思います。
私たちは大人になると、「探究」を「仕事」や「課題解決」という言葉に置き換えてしまいがちです。
もっと純粋に、
「今の私は、何にワクワクするだろう?」
「もし、何の制限もなかったら、何を知りたいだろう?」
そんなふうに、自分の心(魂)が求めていることに耳を傾けて、探求してみてもいいのではないでしょうか?
生まれてくるときに決めてきたことがあるとするならば、それはもしかしたら、この「探究」のプロセスの先にヒントがあるのかもしれません。
子どもたちが夢中で積み木や本、タブレットに向かうように、私たちも自分の人生や、日々の暮らしを「探究」のフィールドにできるはずです。

まとめ

私がコーチングに初めて触れて25年経ちますが、1年生からコーチング的な関わりを受けられているというのは、本当にこれから日本の人材も大きく変化するなと感じました。
これからは、大人、子ども関係なく、人間本来が持っている価値や強みを発揮していく、発揮していくことを応援しあう、サポートしあうそんな文化の始まりを感じました。
探求学習は大人も子どもも上下関係なくフラットにできる学びなのかもしれません。

記事の著者

飯田 招子Akiko Iida

  • WSCコークリエイター
  • 国際コーチング連盟プロフェッショナル認定コーチ(PCC)
  • ホールシステムコーチング®︎認定プロフェッショナルコーチ

大学卒業後、総合人材サービス企業へ入社。
新規開拓営業、プロジェクト管理など常に多くの人と関わる業務を経験。
また、OAインストラクターとして幅広い年代の技術習得とキャリア支援に携わる。
現在は、人材育成コンサルティングや中小企業の人材に関する課題解決、組織活性化、採用支援、各種研修を行っている。