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フィードバックを活かす

2025.02.01

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コーチの仕事は、「聴く」、「質問する」、「フィードバック(伝える)」です。私はコーチングを学び始めたとき、目から鱗が落ちるような質問をしてやろうと躍起になり、質問にばかり意識が向いていました。そして今、クライアントとしての体験やコーチングのトレーニング・実践・継続学習を進める中で、フィードバックの重要性・有効性を実感しています。

今回は、フィードバックに焦点を当て、フィードバックとは何で、何をすることなのかをまとめました。これはコーチングセッションだけでなく、職場での1on1やプロジェクト会議など、現場・日常のコミュニケーションで効果を発揮します。

1.「フィードバック」とは?

デジタル大辞泉(小学館)では、以下のように解説されています。
フィードバック【feedback】
①ある機構で、結果を原因側に戻すことで原因側を調節すること。電気回路では出力による入力の自動調整機能、生体では代謝・内分泌の自己調節機能など。
②物事への反応や結果をみて、改良・調整を加えること。
③顧客や視聴者など製品・サービスの利用者からの反応・意見・評価。また、そうした情報を関係者に伝えること。

コーチングにおけるフィードバックとは、評価や判断、アドバイスではなく、相手の鏡やビデオの役割となることです。フィードバックの目的は、相手が的確に言動や外界に発信している自分の状態を把握し、効果的に目標を実現するために行います。フィードバックを受け取ることで、自分が外界に何を、どのように発信しているのかを認識して、主体的に新たな行動を起こす情報を伝えることです。

2.「フィードバック」の効果

フィードバックには、以下のような効果があります。
・外界に発信している言動や自分の現状を客観的に把握できる
・自分が他者に与えている影響を認識できる
・価値観に気づく
・自分の在り方を認識する
・視点が変わる
・自分の行動特徴・強みに気づき、活かすことができる
・気づきが深まる
・選択肢が広がる
・行動の軌道修正ができる
・新たな行動を起こす

3.「フィードバック」の種類と伝え方

①Youメッセージ
見えている、聞こえている客観的事実を鏡のように返す、記述的に伝える
「あなたは〇〇ですね」、「あなたは〇〇しました」

② Iメッセージ
その人を見て、聴いて、自分が内側で感じた主観的事実を伝える、自分の責任で伝える
「私には〇〇のように見えます」、「私には〇〇と聴こえます」、「私は〇〇と感じます」

③Weメッセージ
その人を見て、聴いて、私たち視点で感じた主観的事実・影響などを伝える
「私たちは〇〇のように見えます」、「あなたが××することは、私たちに〇〇な影響があります」

④メタファー
例え話や比喩などの物語を用いて、主観的事実を相手に伝える

⑤上級メタファー(※)
相手の視覚、聴覚、体感覚、感情に訴えかける、そのフィードバックを受け取ったら思わず行動したくなるようなメタファーのこと(※私が勝手に名付けました)
例:フィードバックをもらうことが苦手というクライアントに対して
「いがぐりを、いがごと食べているように見えます」

4.「フィードバック」で大切なこと

①フィードバックではないものに注意する
・強制-権威や威力によって、その人の意思に関わりなく、あることを無理にさせること
・評価-事物や人物の善悪・美醜などの欠点を判断して決めること
・批判-人の言動・仕事などの欠点を指摘し、正すべきであるとして論じること
・忠告-真心を込めて相手の欠点や過ちを戒めさとすこと「あなたは○○すべきだ」

②フィードバックを伝える時の留意点
・必要性が感じられる(受け取る人が求めてきたときが最も効果的)
・行動変容が可能(受け取った人が修正できる内容であることが大切。修正の難しい癖や・体の特徴、漠然とした雰囲気などは指摘されても困る)
・フィードバックではないもの(①)を、フィードバックの形を借りて伝えていないか注意
・適切なタイミングで伝える(一般的に、指摘される行動があった直後、できるだけ早い時点が最も有効)
・伝える前に許可を取る「感じたことをフィードバックして良いですか?」
・フィードバックを聞いてどうだったのかを確認する(探求を促す)

③フィードバックを活かすかどうかの選択権は相手にある
フィードバックを取り入れて行動変容につなげるかどうかの選択権は、受け取った人にあります。自分がフィードバックを受け取ったら、そのすべてを活かす必要はなく、必要なものを選ぶことができます。したがって、フィードバックをしたのに相手が変わらないことに不快を示してはいけません。鏡は寝癖があることは伝えますが、直せとは言いません。

④フィードバックは、まず自分から求めて活かす
コーチの仕事はフィードバックをすることではありません。自らフィードバックを求め、それを活かすことです。フィードバックでもらった言葉を「良いことを言われた/悪いことを言われた」と判断することなく、そのまま受け取り、自分に必要なものを活かします。
だから、コーチにはコーチが必要なのです。

まとめ

「あなたがめちゃくちゃ面倒くさい人だよ」「ブルドックみたい、めちゃくちゃ不細工だよ」などなど、これは私がコーチからもらったフィードバックです。おかげ様で行動変容につながっています。私にとっては、フィードバックを誰からもらうかも大切な要素です。
コーチとして、クライアントとして、自分も相手もフィードバックを活かし行動変更・自己成長につなげていきましょう。
コーチに限らず、フィードバックは仕事の現場や日常のコミュニケーションに活かすことができますので、ぜひ活用して関係性を構築し、お互いの成長に貢献していきましょう。

記事の著者

コークリエイター・ちえCo-creator Chie

  • WSCコークリエイター
  • 国際コーチング連盟プロフェッショナル認定コーチ(PCC)
  • ホールシステムコーチング®︎認定プロフェッショナルコーチ