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Z世代社員に活かすコーチング

2025.01.01

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最近、職場で「Z世代の新入社員教育に悩んでいる」という話をよく耳にします。
中でも、コミュニケーションに関する悩みが多く、今までのやり方や関わり方が通用しないとのこと。
「もう、どうしたらいいのかわかりません。何か言うとすぐに落ち込んでしまうなど、ちょっとしたミスでもすぐに諦めてしまうんです。どうやってモチベーションを維持させればいいのか、本当に悩んでいます。」
このような声を聴きました。

私の2人の子供たちも20代でZ世代です。彼らの成長を見守る中で、Z世代の特徴や価値観について考える機会がありました。
今回は、Z世代社員とのコミュニケーション方法とコーチングの活用について考えます。

1.Z世代の特徴と背景

Z世代(1990年代後半から2010年代初頭に生まれた世代)の特徴を以下にまとめます。
学校教育
完全なデジタル教育: Z世代は幼少期からスマートフォンやタブレットに触れて育ち、学校でもデジタル機器が当たり前に使われています。
個別化された学習: 個別のニーズに応じた学習が重視され、オンライン学習やアダプティブ・ラーニングが普及しています。

育てられ方
過保護な傾向: 親は子供を大切に育てる傾向が強く、リスクを避ける育て方が一般的です。
メンタルヘルスの重視: 子供のメンタルヘルスに対する意識が高く、ストレスや不安に対するサポートが重視されています。

親子関係
良好な関係: 親子関係は非常に良好で、親が子供の相談相手として信頼されています。
頻繁なコミュニケーション: 親子間のコミュニケーションが頻繁で、SNSやメッセージアプリを通じて常に連絡を取り合うことが一般的です。

確かに私も周りも、多様性を大切にし、コミュニケーションを密にして子育てをしてきた記憶があります。

2.Z世代社員の価値観

次にZ世代社員が何を大切にしているか、リクルートの2022年の調査結果を見てみましょう。

①仕事をするうえで重視すること

②仕事をするうえで得意なスタンス・苦手意識のあるスタンス


出典:リクルートマネジメントソリューションズ「ニューノーマル時代の新入社員の定着・早期立ち上がりに向けて 新入社員意識調査2022

Z世代は成長ややりがい、仲間を大切にしており、競争は最下位です。
また、相手基準や協働は得意であり、自発的な行動や、まずやってみること(試行)は苦手である姿が浮かび上がってきます。保守的でリスクを避けるとも言われています。
これらが「今までの新人教育や若手育成が通用しない、話が通じない」要因の一つとも考えられます。

ではZ世代に対して従来の方法が通用しにくい理由を具体的に挙げてみましょう。
①トップダウンの指示: Z世代は指示の背景や目的を理解したい傾向が強く、一方的な指示には納得しにくいです。
②競争重視の評価制度: 競争よりも仲間との協力を重視するため、競争によるストレスや対立を避ける傾向があります。
③一律の教育プログラム: 従来の新人教育は一律でしたが、Z世代は多様な価値観を持つため、個別のニーズに応じた柔軟な教育が必要です。

これらの点を踏まえ、Z世代に適したコミュニケーション方法を考えることが重要です。

3.Z世代へのコミュニケーション方法

では、Z世代とはどのようにコミュニケーションすればいいのでしょうか?
①共感を示す
Z世代は共感を求める傾向が強いと考えられます。相手の気持ちや状況に理解を示し、「その気持ちはわかるよ」といった共感の言葉をかけることで、相手も安心して話を聞くことができます。

②ポジティブなフィードバックを取り入れる
叱責や指摘だけでなく、ポジティブなフィードバックもバランスよく提供することが重要です。良い点を認めることで、相手のモチベーションを維持することができます。

③明確で具体的な指示を出す
曖昧な指示や批判的な言葉は避け、具体的な事例やデータを基にしたフィードバックを提供しましょう。例えば、「この部分の進捗が遅れているので、次回までにこれを改善してほしい」といった具体的な指示が有効です。

4.実践例と効果

上記の具体的な実践例として、Z世代の新入社員に対するコーチングの方法を紹介します。

例1: プロジェクトの進捗が遅れている場合
「田中さん、今回のプロジェクトの進捗が予定より遅れています。具体的には、先週のミーティングで設定した目標に達していません。このままでは全体のスケジュールに影響が出る可能性があります。何が原因で遅れているのか、私たちで一緒に確認して改善策を考えましょう。次回のミーティングまでに、具体的なアクションプランを作成してもらえますか?」

例2: ミスが続いている場合
「鈴木さん、最近同じミスが続いています。先週の報告書でもデータの入力ミスがありました。このミスが続くと、クライアントとの信頼関係にも影響を及ぼす可能性があります。ミスを防ぐために、どのような対策が考えられるか私たちで一緒に考えてみましょう。」

例3: コミュニケーション不足の場合
「山本さん、最近チーム内でのコミュニケーションが不足しているように感じます。重要な情報が共有されていないことがあり、他のメンバーが困惑しています。チーム全体のパフォーマンスに影響が出る前に、情報共有の方法を見直しましょう。毎週のミーティングで進捗報告を行うことを提案します。山本さんはどう思いますか?」

これらの実践例を通じて、Z世代の新入社員がより効果的に成長し、組織に貢献できるようになるでしょう。コーチングを通じて得られる気づきや学びが、個人のキャリアアップや組織全体のパフォーマンス向上に繋がることが期待できます。

まとめ

Z世代は、コーチングが日本に広まった頃とほぼ同時期に生まれ、成長してきました。
私も学びたてのコーチングを育児に活用してきました。また、塾や学校などの教育現場でも同様の取り組みが行われています。
視点を変えると、Z世代はコーチングと非常に相性の良い世代と言えるでしょう。
これからのスタンダードとなるZ世代とのコミュニケーション方法を今から実践しておくことは、私たちにとって将来的に大きなメリットをもたらします。

Z世代社員にコーチングを活用することで、コミュニケーションが円滑になり、信頼関係を築くことができるだけでなく、今後の職場環境においても有利に働くと思われます。
今チャレンジしておくことで、きっと得られるものが多いでしょう。

記事の著者

矢頭 聖子Kiyoko Yatoh

  • WSCコークリエイター
  • 国際コーチング連盟プロフェッショナル認定コーチ(PCC)
  • ホールシステムコーチング®︎認定プロフェッショナルコーチ

コーチ&ファイナンシャルプランナー。
元金融系システムエンジニア。2005年に独立。
現在は経営者や管理職、就職・転職・起業志望者を対象にコーチングとファイナンシャルプランナー両方のスキルを活かした個別相談やセミナーを実施。
また中高生やその保護者へのキャリア教育、金銭教育にも取り組んでいる。