脳の使い方を変えるWeメソッド®WSC ホールシステムコーチング®Whole System Coaching

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社内コーチ/組織内コーチがチームコーチングの行うメリット

2021.08.01

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社内コーチ/組織内コーチを育成し、育成した社内コーチ/組織内コーチがチームコーチングを行うと、企業にどのようなメリットがあるのでしょうか?
私自身がコーチングを学び、初めて社内コーチとして社内にチームコーチングを導入した体験と、チームコーチングを導入して気づいたことや、学んだことをお伝えします。

1.チームコーチングとは

ホールシステムコーチング(WSC)では、チームコーチングを以下のように定義しています。
チームコーチングとは、チームを一つのシステム(一生命体・一人格・一つの脳)として捉え、チームをコーチングします。チームのビジョンを明確にし、共有したうえで、共通のゴールを達成するために行うコーチングです。そして、チームを一つの脳と捉えて、システム全体にアプローチし、組織もホールブレインとして機能するコーチングをします。
そして、成果を出し新しい文化を共創していくためには、個人の価値観や対立を越え、関係性と文化などのシステム全体を同時にコーチしていく必要があります。
また、ICF(国際コーチング連盟)では、ICF Team Coaching Competenciesにてチームコーチングの可能性について以下のように説明しています。
チームコーチングはチームが持続可能な結果と継続的な開発に向けて取り組むことを可能にする経験です。(Team coaching is an experience that allows a team to work towards sustainable )
チームコーチングとグループコーチングの違いをよく聞かれますが、チームコーチングとは、チームを一つのシステム(一生命体・一人格・一つの脳)と捉え、チームをコーチします。私たちのビジョンを明確にし、共有したうえで、共通のゴールを達成するために行うコーチングのことです。

グループコーチングとは、ビジョンを明確にし、共有したうえで、共通のゴールを達成するために行う集団へのコーチングのことです。そのため、ゴールは個人個人で設定します。

このゴール達成のプロセスの違いは、チームコーチングとグループコーチングの違いの一つだと考えています。

2.社内コーチ/組織内コーチがチームコーチングを行う4つのメリット

私が初めて社内でチームコーチングを行った時に感じた4つのメリットをお伝えします。

1.ラポールが築けている。
普段一緒に仕事をしている仲間だからこそ、私たちは気心が知れていて、ざっくばらんに話せる関係性が築けています。一緒に目標達成していこうという気持ちもあり、初めて行うチームコーチングに対して協力的で応援してくれているように私は感じました。
だからこそ、チームコーチングの場でも、私たちは何でも話せる雰囲気(ラポールが築けている)を感じました。

2.目的・目標の共有ができている。
私たちチームは、「事業譲渡前の売上5億を今期は超える」という数値目標は普段からよく会話に出てきており、会社は利益を出して、家族や取引先に喜ばれ、税金も払って社会の役に立つ、楽しくハッピーになれるよう、利益貢献していく会社にしていこうという思いはチームの共通認識でした。

チームコーチングで目的・目標を話し合う際、個人の価値観の違いやチーム内での対立があったとしても、「事業譲渡前の売上5億を今期は超える」という同じ目的・目標に向けて普段からよく会話しているため、スムーズにチームコーチングを行うことができました。

3.チームメンバー・経営陣(管理職)の協働を取りやすい
チームコーチングを行う上で、誰の協力を得るかはとても重要です。チームメンバーや経営陣(管理者)の微妙な関係性など、社内コーチだからこそ熟知しており、チームメンバーや、経営陣・他部署の協力も得やすいのです。私は今回のチームコーチングを行うにあたり、全体会議でチームコーチングを行い、チーム全員の価値観や共通のゴールを社内共有したいと、面談時に会長・社長に伝え承諾を得ました。

そして会長・社長にも全体会議には参加してもらい、チームコーチングへの発言をお願いしました。また、本社総務部の総務課長にも参加してもらい、私たちの目標達成へ向けてチームを創りました。経営陣(管理職)、他部署との協働は、社内コーチだからこそうまくできた成功事例と考えています。
社内コーチとして、社内の関係性を熟知している場合は、平等/対等と利益相反には配慮が必要です。組織内の立場の強さや役割の違いで、特定の人の意見に肩入れするのは以っての外です。平等性や利益相反を考慮して、面識のない社内の人たちをコーチングする方が良い場合もあります。社内コーチの倫理観がチームコーチング成功の大きな鍵となるでしょう。ICFの定める倫理規定には、ICFプロフェッショナルとしての倫理が詳細に明記してあります。

4. 組織・チームの成長サイクルをタイムリーに修正、継続することができる。
チームコーチングの成果は、チームが実際に行動することで成果(売上・利益)が出ます。
そこで大切なのは、チームコーチングを継続的にチームに起こしていくことだと考えています。(打ち上げ花火で終わらない)。

チームコーチングを継続的にチームに起こしていくとは、個人と組織の成功体験や失敗体験の共有をその場で図ることができ、「何がうまくいったのか?」「どうすればさらに良くなるのか?」など、チームに質問などのアプローチをすることで、次に活かせる知恵や資源をタイムリーにチームで共有し次の行動に移せることではないでしょうか?

社内コーチがいることで、朝礼やミーティング、個人の面談など、さまざまな場面で、組織・チームの成長サイクルをタイムリーに修正、継続することができると考えます。
私も社内コーチとして、知恵や資源をタイムリーにチームで共有し次の行動に活かせように、チームの声を聴く、指示ではなく質問する、教えるのでなく情報共有など、コーチとしてのアプローチを意識してこの1ヶ月過ごしてきました。このように、社内コーチが上司という立場だけでなく、社内コーチとしてのかかわり方を増やすことで、チーム共通のゴールを達成に向けて、新しい仕組みや文化が生まれるであろうと考えています。

成長サイクルを回す
図1【成長サイクルを回す】

3.チームコーチングを進める上での準備

私が全体会議の中で、チームコーチングを行える時間は45分でした。そして、今期の売上・利益目標額は経営者側から提示され決まっています。
決められた時間でWSCで学んだチームコーチングを行う上で私が以下の5つを準備しました。

1.社長、会長へは、どうしてチームコーチングを行うのか?の意図目的を伝え、当日はチームコーチングを行うことの承認と、チームコーチングへ参加も依頼しました。
私は、以下のように社長・会長に伝えました。
「事業譲渡前の売上5億を今期は超える」と言うのは、私たちの強い思いであり、それが達成されることは、企業がV字回復したと自他ともに認めることができ、私たちの自信と、目標達成のプロセスは私たちの文化になると考えています。今期スタートするにあたって、45分の時間を使い、私たちの価値観や共通のゴール(売上5億円)を達成するために意思を統一したいと考えています。」
社長・会長からは、「とりあえずやってみたらええ」と承認をもらい、社内には会長・社長に承認を取っている旨を皆に伝え、社内全体での取り込みだということをチーム伝えました。

2.チームコーチングは何かという事をチームに伝わるように表現を考えた。
チームコーチングに参加するスタッフは「コーチングが何か?」「チームコーチングは何をするのか?」など初めての体験です。限られた時間でコーチングやチームコーチングの説明を詳しくするより、「私たちの価値観や共通のゴール(売上5億円)を達成するために意思を統一したいと考えています。それをみんなで話すことが、チームコーチングでやることです。」と、チームには伝えました。

3.ルールを決めておく。
持ち時間は45分なので、一人一回以上は発言するなど次のようにルールを5つ決めておきました。
・一人一回以上はなんでもいいから発言する
・他人の意見を受け止める。
・いい発言があれば、そのアイデアに乗っかってOK
・思ったことは口に出す
・楽しむ

当日は、チームメンバーにルール内容を確認、合意を得てから進めました。

4.テーマを決めておく
年間売上・利益目標、月別の目標・行動予定は経営者側から提示され決まっています。
私なりにテーマを
「目標を達成する私たちの意味は何だろう?」
と考えておきました。
そして、チームにテーマを提案し、話し合いながら進めました。

5.私自身がおもろくチームコーチングができるように、おもしろい話のネタ(自己開示)など用意し、チームコーチングの流れを何度も練習しました。

4.チームコーチングを行うときにコーチとして意識したこと

1on1のコーチングと同じく、チームコーチングでもコーチの在り方はとても大切だと感じました。私がチームコーチングをおこなった際、コーチとして意識したことは次の通りです。

1.ニュートラルでいる
社内コーチとしてチームコーチングをおこなう際、よく知った関係性だからこそ、
「A君、また細かいことばっかり言てるな」
「Bさん、いつも話が長いわ」
「それ、一番社長がやらなあかんやん」
などなど、色々な感情が湧いてきたり、部下や上司、仲間への解釈や思い込みに流されることがありました。

コーチとしてニュートラルであり続けるように、自分とつながり、私たちチームとつながり、その場につながることを意識しました。

2.届く声を出す。
チームの全員に声が届く様に以下の5つを意識しました。
① アイコンタクト
② 衣服・姿勢に気をつける
③ 動きハツラツ
④ 笑顔で話す
⑤ 大きい声ではっきりと
詳しくは、「プレゼンス/存在感> 相手に声を届ける方法」をご覧ください。

3.オープンマインド
コーチングを学んでとても大切だなと感じているのは、コーチがオープンマインドであることです。知らないことにも、今起きていることにも、上司部下、同僚などの顔色をあまり意識せず、オープンに話ようにしました。社内コーチとしてチームコーチングをおこなう場合、コーチ自身がオープンな気持ちでいるからこそ、オープンマインドなチームが形成されていくと感じました。

まとめ

チームコーチングをおこなって一ヵ月が経ちます。
チームコーチングで出し合った、私たちが目標を達成する意味や、共有した私たちのキャッチコピー「ガッツリ稼いで、がっぽりもらう!みんなが幸せ」を朝のミーティングや定例会議が始まる前に声に出しています。

そうすることで、私たちは目標に向かって進んでいるという一体感を感じるとチームメンバーからフィードバックをもらいました。私自身もチームの一体感を感じ、そして社内コーチが行うチームコーチングの効果も感じています。

年末には第二回チームコーチングの時間を90分取り、私たちの10年ビジョンを創りたいと考え、チームコーチングを学び続けています。

そして2020年には国際コーチング連盟(ICF)から「チームコーチングコンピテンシー(1対1のコーチングを超えて)」が発表されました。「コーチング」はパーソナル(個人)だけではなく「チーム」の時代へと、進化していく可能性を感じ、これから社内コーチ/組織内コーチ育成が「チーム」の進化になると期待しています。

記事の著者

山本 貴史Takashi Yamamoto

  • WSCコークリエイター
  • 国際コーチング連盟プロフェッショナル認定コーチ(PCC)
  • ホールシステムコーチング®︎認定プロフェッショナルコーチ