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SDGsとポストコロナにおける企業の活動

2021.07.01

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いよいよ大詰めフェーズに入ったともいえる、2030年の達成目標であるSDGs。
日本も国連の加盟国ですから、各省庁や地方自治体の取り組みはもちろんのこと、
企業間においても、ESG投資や、パートナー(取引企業)選びの条件として、その活動を重要視することが一般化しました。
また、国連を始めとする各種サミットで、世界に起こる問題を、過去何度取り上げてきたことでしょう。

SDGsがこれまでの問題提起と大きく変わったといえることは、
・「持続可能」
・「誰一人として取り残さない」
という大きな2つの視点ではないでしょうか。
(この記事では「SDGsとは」「目標とターゲット」などの説明を割愛します)

1.持続可能な開発目標

冒頭に書いた通り、政府・自治体・企業・個人など、切り口は様々ですが、今回は企業(エグゼクティブを含む組織やチーム)にフォーカスします。
※これより、日本の環境学者であり、SDGsに関する学術研究の第一人者とも呼ばれる、
慶應義塾大学の環境情報学部教授「蟹江 憲史」氏の著書を引用します。

日本では江戸時代から近江商人の経営哲学として「三方よし」の概念が有名です。
① 売り手よし ② 買い手よし ③ 世間よし、というものです。
SDGsはこの考えをさらに前に進めた「四方よし」だと表しています。
④ は「未来よし」、これが「持続可能」の意味を成す部分です。

未来には、過去・現在の延長線上で考えられることがたくさん出てくるものです。
例えばこれまでのCSR(企業の社会的責任)では、本業とは関連のない活動を通して
社会へ貢献をしようという発想で、美術館の設立や、音楽活動の支援などをしてきました。
のちに、CSV(共有価値の創造)の考えが生まれ、本業と貢献との一致性へと変化しました。
これが「四方よし」へと未来を創ってきた、ひとつの過程といえます。

同書には、多数の企業名や企業家の名前も出てきていました。
例えば日本ユニシスの平岡 昭良社長は「妄想」することの大切さを主張しています。
『週にわずかな時間でも、ぼーっと何かを考えたり、妄想したりすることが、
のちに大きな発想を生むことになるのだ。』

このことから私は、企業としてSDGsに取り組むなら「持続可能」な未来のイメージを、
存分に描くことが肝要だと理解しました。

そして今、新型コロナウイルスの影響は「持続可能」とはいえない成長モデルの脆弱さをあぶりだすことになったのです。

2.誰一人として取り残さない (ポストコロナの道しるべ)

新型コロナウイルスが瞬く間に猛威を振るい、SDGsへの影響も甚大であることは
想像に難くないことです。 具体例を見てみます。

目標1(貧困):
4000万~6000万人が極度の貧困状態に戻ることを余儀なくされ、進捗状況は20年前に逆戻りすることになった。
目標2(飢餓・食料安定確保):
休校措置によって、3億7000万人の児童が無料提供の給食を得られなくなった。
目標3(健康と福祉):
健康関連施設、医療従事者の不足問題。ワクチンや医薬品の研究開発を急速に進めることが必要となった。
目標6(水と衛生):
手洗い・うがいのような、日本では当たり前のことを実施できない人口は数十億人にのぼる。
目標8(経済成長):
合計労働時間の10.5%が低下。実に3億5000万人のフルタイム労働者に値する。

これらはごく一部です。
経済や社会が大ダメージを受けた一方で、大気や海の環境は改善し、汚染が減ったという
データもあります。大きなダメージを受けた立場の人々を優先しながら経済を回復し、同時に
環境の改善を継続したいものです。これを機に、働き方の改善や多様性の確保を、一気に定着へとつなげることができるのではないでしょうか。そもそも医療の質やアクセスの向上は、
高齢化社会へ進む中で重要だとわかっていたことですから。
SDGsはやるべきことのチェックリストといえます。
持続可能とはいえない成長モデルを修正する方向性も、SDGsは示しています。
SDGsを道しるべとし、今こそ再生戦略を立てるべきときなのでしょう。

3.創発と目標設定

「創発」この言葉は、物理学や生物学からきた用語だそうです。局所的な部分が集まり、相互作用によって複雑に組織化し、予想もしなかった新たな
秩序やシステムができ、やがてそのシステム自体が個々の要素に影響を及ぼすという現象
なのだそうです。「風が吹けば桶屋が儲かる」がごとくです。

SDGsでは、課題を大きく「経済」「社会」「環境」の3分類でとらえることが多く、一見独立した問題のように思えても、それぞれが深く関連していると考えられています。相互に関連しているということは、課題の解決も一筋縄では行かず、総合的に考えることが重要だといえるでしょう。
見方を変えれば、何かを始めることで「波及効果」が生じ、連鎖の解決も期待できるのです。

17個の目標(Goals)は比較的抽象的で、ヴィジョンと表現してもよさそうな「大目標」
として掲げられ、2030年までの達成を目指しています。そして大目標の中にある
それぞれのターゲットは、達成の期日や数値などが決まっている具体的な目標です。

目標の立て方は、次の通りだったそうです。

仕組みづくり(ルールのない自由な仕組み)
「少し先の未来」のあるべき姿として、抽象度の高い「理想的」な方向性を決めた。

測る(達成を測れる状態にする=指標を決める)
①企業の行動を測る(ESG投資などを指標にする)
②質を測る(路上生活者・外国人労働者・LGBT・障がい者など、取り残されがちな人々の実態調査や推移を指標にする)
③データの活用で測る(ビッグデータやGIS:地理情報システムなどを指標にする)

指標については、ドイツの「ベテルスマン財団」と「持続可能な開発ソリューションネットワーク」による『SDGsインデックスとダッシュボード』が代表的です。
①多様な国の状況に対応し、かつグローバルな計測に適している。
②統計的な適切性がある。
③適切にアップデートしている。
④当該問題の計測に適切な質である。
⑤人口1000万人以上の国連加盟国の80%以上の国に入る指標である。

4.プロジェクトコーチング

ズバリ申し上げます。
「今からでもSDGに取り組んでみたい」または「取り組んでいるから絶対に達成したい」
もしそのようにお考えなら、コーチを交えてみてはいかがでしょうか。
SDGsを成功するための、プロジェクトコーチングを実施するということです。

これまでの章でお伝えしたように、
・プロジェクトに関わる全員で、未来の理想しっかりとイメージする
・「持続可能」な目標について、達成を測れる状態にする
・総合的な視点で検証する(創発)
・新型コロナのような異例の事態が起こったとしても、ともに再生戦略を立てる

これらのことを、関わる全員で実施するのが、プロジェクト(チーム)コーチングです。
それぞれの組織(チーム)らしさを活かし、世界の、地球の目標達成に取り組みます。

コーチングの基本的概念である「協働」、そしてホールシステムコーチング®の理念である「新しい未来の共創」があれば、実現可能、いえ、「持続可能」だと実感します。

まとめ

メディアアーティストで筑波大学准教授である「落合陽一」さんと、ジャーナリストの
「池上彰」さんの対談では、『We are the world』で世界は変わらなかったと語っています。(※2030年の世界地図帳落合陽一氏の著より)
私はエグゼクティブのコーチングをする機会が多く、組織が動けば世界を変えるパワーがあるということを知っています。
組織規模の大小は関係ありません。東大阪の町工場から世界は変わるものです。
チームにコーチを迎え入れてみませんか。

記事の著者

船木 優子Yuko Funaki

  • WSCコークリエイター
  • 国際コーチング連盟プロフェッショナル認定コーチ(PCC)
  • ホールシステムコーチング®︎認定プロフェッショナルコーチ

メーカー企業にて営業アシスタントを経て、新人スタッフ育成を学び担当する。テーマパークの開業準備を経験した後、人材育成の部門にてマネジメント、キャリアディベロップメント、アルバイトスタッフ育成など幅広く携わる。2004年にコーチングと出会い、社内に導入する。その後、外食産業系企業で店長や女将業の現場経験を積み、2013年に独立。現在は、プロコーチとして企業の人材育成、組織開発を行っている。