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自分を整えるには

2024.12.01

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「自分を整える」というテーマは、永遠の課題かもしれません。
みなさんは、どのように自分をベストな状態に整えていますか?

一度乗り越えたはずの迷いや不安が、再び訪れることもあるでしょう。
このコラムでは、そのような時に前進できるヒントをお届けします。
コーチとしても、自分を整える基本に立ち返り、考察しました。

1.自分を整えるとは

「自分を整える」とは、心と体のバランスを意識的に調整し、日々のストレスや不安を軽減することです。
これは、自分の感情や考えを丁寧に見つめ直し、整えることで、
心の平穏と明瞭さを取り戻し、より充実した日常を送るための取り組みです。

忙しい日常の中で、少し立ち止まり、自分をケアし
エネルギーを回復させることが、前向きな人生を送るための大切な要素になります。

コーチングでは、コーチが自分を整えることによって、
その安定感がクライアントにも伝わり、自然と心を開き、深い対話がうまれます。
信頼関係が築かれ、安心安全な空間がつくられるでしょう。

2.自分自身の感情を整えるには

感情は大きく3つの種類に分けられます。
① 快の感情(ポジティブ):喜び、うれしさ、楽しさなど
② 不快の感情(ネガティブ):怒り、不満、憂鬱、悔しさなど
③ 快でも不快でもない“ニュートラルな”状態

人は一般的に、①の「快の感情」、つまり喜びや楽しさをもとめます。
例えば、美味しいものを食べたり、遊んだり、他人の評価を得るために頑張るなどです。
しかし、こうしたポジティブな感情は長続きせず、やがて元に戻るものです。

その一方で、「もっと上手くいけばいいのに」「コミュニケーションがスムーズに進めばいいのに」と感じる場面では、②の「不快な感情」に目がいきがちです。
私たちの日常は、快を追いかけながら、実際には不快に反応してしまうことが多いのです。
感情を整えるための秘訣は、①でも②でもない、③の“ニュートラルな”状態を意識することです。

怒りや喜びに振り回されない“ニュートラル”な精神状態に戻ることで、
心は大きく安定し、健康的なバランスを保つことができます。
それが「心の基盤」といえる状態です。

なぜこの“ニュートラルな”状態が重要なのか?
例えば、重要なプレゼンテーションの前は、緊張や不安で心が乱れることがあります。
このときに感情が高ぶると、集中力が欠け、話す内容に影響が出てしまうかもしれません。

そこで、深呼吸をして「今ここ」に意識を戻し、感情に左右されない
“ニュートラルな”状態に戻ることで、冷静さを保ちながらベストなパフォーマンスが発揮できるのです。

3.“ニュートラルな”状態を取りもどすには

日々の生活の中で、思うように物事が進まないことはよくありますね。
私の場合、時間に追われたり、予想外の問題が発生したりすると、
不安や焦りのスイッチが入ってしまいます。
頭では冷静に判断できているつもりでも、感覚は正直です。

その結果、言動がどうしてもニュートラルではなくなってしまいます。
「どうしよう!時間がないし、私が何とかしなければ…」と慌ててしまい、
心の中はハラハラ状態。
落ちつこうと自分に言い聞かせても、なかなか簡単にはいかないものです。

そんなとき、私が実践しているのは、まず呼吸をゆっくり整え、
さらに動作も意識的にゆっくりと行うことです。
時間がないにも関わらず、敢えてゆっくり行動します。

すると、不思議と気持ちが自然“ニュートラルな”状態に戻り、
最悪の事態も冷静に考えられるようになります。
その結果、心の準備ができ、物事がスムーズに進むように感じます。

他にも、具体的な方法としては、呼吸法や瞑想があります。
私の場合は、身体を動かすことが効果的で、体の状態をかえることで、
感情から解放され、“ニュートラルな”状態に近づけることができるのです。

実際に、呼吸数を意識的に減らすことで、脳の酸素供給が増え、前頭前野の活動が活発化するというデータがあります。
前頭前野は冷静な意思決定やストレス管理に関与しているため、深呼吸によって焦りや不安が緩和されるとされています。

具体的には、1分間に6回の呼吸を行うことで、ストレスホルモンの分泌が減少し、
脳内のリラクゼーションが促進されます。

4.コーチとして「自分を整える」ことの意味

コーチにとって「自分を整える」ことは、どのような意味があるのでしょうか?
国際コーチング連盟(ICF)が定めるコーチの能力水準(コア・コンピテンシー)に照らし合わせて考えてみましょう。

「自分を整える」ことは、ICFコア・コンピテンシーの最初の項目である
「基盤を整える」に明記されています。
具体的には以下のような要素が含まれています。

●A 基盤を整える
2.「コーチングマインドを体現している」
 6.感情を整える能力を開発し、維持している。
 7.セッションに備え、精神的及び感情的な準備をしている。

●B 関係性をともに築く
5.「今ここに在り続ける」
 3.クライアントとともに居続けるために、自身の感情を管理している。
 4.コーチングの過程において、クライアントの強い感情と向き合うことへの自信を示している。
(*クライアントとは、コーチングを受ける人のこと)

このように、コーチングにおける「自分を整える」ことは、コーチとしての基盤を整えることに直結しています。
解放的で柔軟な姿勢を持ち、思いやりと自信をもってクライアントと向き合うために、
自分自身を整えることが重要です。
ICFコア・コンピテンシーに基づき、しっかりとした基盤を築いていきたいと感じました。

まとめ

「自分を整える」というテーマは、
私たちが大切にしている価値観が、大きく関連しています。
個々の思いや考えがあり、それらが揺れ動くこともあるでしょう。

そうした多様な視点を認め、承認し、尊重することで、
より豊かな人生を築けるのではないでしょうか。
コーチとして、多様性を受け入れ、共に成長できる選択をしていきましょう。

記事の著者

木村 千鶴Chizuru Kimura

  • WSCコークリエイター
  • 国際コーチング連盟アソシエイト 認定コーチ(ACC)
  • ホールシステムコーチング®︎認定プロフェッショナルコーチ

子育てが終わり自分の時間を持てた頃から、第2の人生を豊かに送るために何かを探し求めていた2016年「コーチング」に出会う。2019年WSC認定プロフェッショナルコーチ、2021年1月にACCを取得し、現在まで約400人にコーチングを提供。取り扱った主なテーマ(内容)は、セカンドライフの充実・本の出版・資格取得・タイムマネージメントとモチベーション維持・自己理解・キャリアアップ・家族との関係性・起業など多数。