脳の使い方を変えるWeメソッド®WSC ホールシステムコーチング®Whole System Coaching

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人を育てる 人と共に育つ

2020.07.01

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子供を育てる、部下を育てる、チームを育成する、〇〇を育てる。
あなたは日常で、「育てる」という言葉をよく使っていますか? 
「育てる」というこの中にあなた自身はいますか?
「育てる」を自分主語=主体的に言い換えるとどうなるでしょうか。
子どもとともに育つ、部下とともに育つ。私たち(私を含めた)で育つ。
そんな風に言い換えることができたら、行動、考え方、見え方はどう変化するでしょうか。

コーチングの考え方の基本に、協働=一緒に事を行う・対等。とあります。
共に創る=co-createですね。
相手が、0歳だとしても、自分より年下の人、上司だとしても同じではないでしょうか。

実際にどのように関わっていくことができるのか?についてまとめました。

1.さまざまな関わり方

あなたが赤ちゃんを育てていると仮定して、4つの関わり方を見ていきましょう。

・赤ちゃんが寝がえりをしたいとがんばっている姿を見て
 →寝返りをやって見せた、一緒にやった(ティーチング)

・赤ちゃんが何かしようとしていたら
→「これね」と決めつけず、「どうしたいの?」とWANT(欲求)を聞くようにする(意思を確認する)

・階段に興味を示したので、上り方を教えて、注意深く見守った(観察した)
→やりたい(=主体的な行動)を応援した。制限(柵をつける)を設けない

・ダメという言葉ではなく、STOPという言葉をかけた
 →NO(否定)ではなく、一旦行動を止めることに注力し、立ち止まって状況を説明した

赤ちゃんや子供は、どこまで受け取ってくれているかはわかりません。
しかしながら、応援してもらっている。見守ってくれている存在がある。ということは
感じ取っているのではないでしょうか。
もし、伝わってなかったとしても、期待しすぎず、関わり続けることが大切だと考えます。

これは、社会人に対する人材育成でも同じことが取り組まれているのではないでしょうか。
・まずは上司がやって見せる、見本となる(イメージを共有する、体現者である)
・決めつけず、どうしたいのか本人の意思を確認する。(主体性を育む)
・主体的な行動を応援し、見守る(チャレンジから学ぶ(自らの学び)、見守る(観察))
・間違っていたとしても否定をせず、状況を確認・説明をする(判断軸の醸成、現状把握)

私たち人は、とてもやさしいので、相手が失敗しないように、間違わないように、
自分が体験、経験したことについて、ついつい先回りしてアドバイスをしたり、
「やめておいた方がよい」と行動を制限しがちです。
また、相手が「こうしたいと思うのですが・・・」ということを、
「それは違う、ダメだ」などと知らず知らずのうちに否定をしてしまったり。

それが身近で大切な存在であるほど、そうなりがちではないでしょうか?

0歳でも、社会人でも、人それぞれ。
私(自分)の経験や心配は少し横に置いて、
目の前にいる人と、「いまココ」の声がけや関りをすることで、
その人のもっている本来の力が育つ手助けをすることにつながっていくのではないでしょうか。

2.「見守る」と「観察する」

ここで、「見守る」と「観察する」について、確認します。
同じ「見る」ということではありますが、何が違うのでしょうか?

見守る:無事であるように注意しながら見る。また、なりゆきを、気をつけながら見る。(Watch over)
観察する:対象の実態を知るために注意深く見ること。 その様子を見て、その変化を記録すること。
どれだけその変化を見つけられるかが重要である。(Observe)

人が育つという過程において、大切なのは「観察する」という視点ではないでしょうか。

「見ているけれどあなたは何も見ていない」というドラマのフレーズがありました。
これは、まさに、見守ると観察の違い。

見る(観察)というのは、とても忍耐のいることだと感じます。
先述にもあったように、ついつい自分の体験、経験を伝えることで学びを促進する。
これも重要な役割です。
しかしながら、観察は注意深く見て、変化を見つけること。

どれだけ変化を見つけられるか。変化をフィードバックとして相手に伝えることで、
成長に貢献する(客観的な視点)可能性を広げることができるかもしれません。

3.「共に育つ」

人を育てることや、人が育つ過程に関わることの最大の効果は、自分が育つこと。
相手も自分も育つということではないかと考えます。つまり、「共に育つ」。

忍耐のいることにチャレンジする、観察にチャレンジする、フィードバックにチャレンジする。など、
私たちは、人が育つ過程に関わることで、自分自身の新たな視点、能力の開発や成長も促進されていくのだと感じます。

「人を育てる」から、「私も共に育つ、私たちで育つ」と主語を変えてみることで、
自分自身の行動、考える視点がどんな風に変化するのか。
楽しんで、自分自身を観察してみてはどうでしょうか。
さらなる私の可能性についても目を向けることで、
相手にかける言葉、非言語のコミュニケーションが
もしかしたら何か変わることがあるかもしれない。
私が変われば相手も変わる。

まとめ

0歳だからできない、わからない、「この人はこうだからな~」と、
相手に合わせた対応をできることは素晴らしいことだと感じます。
だからこそ、その限定や制限を外したらどうなるのか?にもチャレンジすることが、
相手と自分へのストレッチであり、私たちのストレッチとなり、
まだ見ぬ可能性を広げていく能力開発ではないかと考えます。

賛否両論があるかもしれませんが、私は0歳でも箸に興味を持てば、箸を持ってもらったり、
階段を上りたければチャレンジしてもらっています。
経験値のある側は、怖いし、危ないということを知っているので、
親心から辞めさせたい気持ちが先に出て、制限をかけたり、防御したりします。
「いまココ」の学ぶ意欲、その機会を損なうことにもなってしまうのではないかとも考えます。
自分の経験は少し脇に置いて、「WANT」(欲求)を応援する側にまわる。
その代わり、とにかく注意深く見る(観察する)ことを、自分が疲れるくらいしているかもしれません。(何かあってはならないので)
それにより、私自身、忍耐力と観察力が以前よりほんの少しパワーアップしたかな。と感じています。
その力は、全ての事に活かされる自分自身の成長でもあると感じます。

相手の年齢は関係なく、人が育つ過程において、コミュニケーションをとりながら、共に育つ。
育成に正解はありませんし、わかりません。だからこそ、いまココ、1つ1つが大切な学びの機会ではないでしょうか。

記事の著者

飯田 招子Akiko Iida

  • WSCコークリエイター
  • 国際コーチング連盟プロフェッショナル認定コーチ(PCC)
  • ホールシステムコーチング®︎認定プロフェッショナルコーチ

大学卒業後、総合人材サービス企業へ入社。
新規開拓営業、プロジェクト管理など常に多くの人と関わる業務を経験。
また、OAインストラクターとして幅広い年代の技術習得とキャリア支援に携わる。
現在は、人材育成コンサルティングや中小企業の人材に関する課題解決、組織活性化、採用支援、各種研修を行っている。