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受験とコーチング
2020.06.01
「受験コーチング」という言葉から、あなたは何をイメージしますか?
一般的には、先生が偏差値アップのために受験生を激励したり、親が子どものやる気を引き出すためにコーチングを活用する場面でしょうか。
この春、娘の大学受験が終わりました。
1年間の受験勉強のサポートに、先生方はじめ周りの方の協力があったことに感謝の念でいっぱいです。
そしてその関わり方は非常に「コーチング的」でした。
先生や親や、関わる人全体が受験生を支え合う関係性が大きく影響していました。
そこで今回は、どのような関わり方が受験生に望ましいかについて検証します。
1.自己肯定感の醸成
「子育てには自己肯定感を育てることが大切だ」とよく言われます。
巷では、「褒めて育てよう」や「強みを見つけよう」といった、子どもへの伝え方が紹介されています。
では、褒めていれば自己肯定感は醸成されるものでしょうか?
娘の高校では、校則が存在せず生徒たちに学校運営が委ねられていました。
そのため、私服通学で髪の色も自由、メイクもピアスも当たり前の環境です。
ルールはなく、先生と一緒につくり上げていく校風の中、娘も好きな服装で登校していました。
目に余る行動については、先生から申し入れ(注意ではなくフィードバック)があるそうです。
学校全体が「あなたたちを信じているよ」を体現しています。
「私は大事にされている」
「私はみんなを大切にしている」
を実際に体感したことで、自己肯定感の醸成につながり、受験に向けての底力になったのではないかと考えます。
2.合格、進学後のビジョンを描く
自由な校風とは言え、実際は受験対策がとても重要になってきます。
成績向上及び志望校合格が短期目標です。
受験生は厳しい授業の中、かなり疲れながらも受験準備の生活をしていました。
そのような日々が続くと、視野も狭くなってきてイライラが募るものです。
この状況にどう対処していたのでしょうか?
そんな日々の中、先生が教室に張り紙をしました。
書かれていた言葉、それは
「先生が独身時代に使っていた一人暮らし用家具家電を譲ります」
「みんながんばれ!」や「成果は目の前だ!」のような上っ面の応援の言葉ではなく、
大学合格後の日々の生活を想像させる張り紙をしました。
(先生にはその意図はあまりなかったとのことですが)
その後、『大学合格している』が前提で話をする生徒たちが続出。
「一人暮らししたらこういうのが必要なのか!?」
「先生の(下着洗った)洗濯機は使いたくないなあ」
など、受験勉強一色のクラスの話題が『合格一人暮らしデビュー』のイメージへと飛躍。
見事なリフレーミングです。
ちょっと先の未来のために目線を上に向ける効果を感じました。
3.レジリエンス(立ち上がる力)
そしていよいよ試験が始まりました。
試験、自己採点、次の受験、合否発表とめまぐるしい日々を送る中、自分のご機嫌をとりながら、まるで川下りのような怒涛の日々が続きます。
そんな中、受験や塾通いや補講に疲れきった頃、親から見ても睡眠不足で追い詰められた様子の子も多く、娘も大丈夫かなと思う時期がありました。
「最近どう?」と様子を質問してみたところ、クラス委員長から提案があり、ホームルームは外に行って鬼ごっこをしているとの話です。
学校中の先生方にもその鬼ごっこの様子は有名で
「あー仲良く鬼ごっこしているなぁ」
とほのぼの見守られていたそうです。
ちなみに担任は鬼ごっこに一緒に参加していました。
時には童心に戻って遊ぶことでメンタルが安定し、心身も回復したように見受けらます。
自分で自分のご機嫌を取ることができたことで、レジリエンス(立ち上がる力)
につながりました。
まとめ
振り返ると、「受験コーチング」は1対1コーチングのことを指すのではなく、
周りの大人や仲間たちの
・受験生たちの自己肯定感を育て醸成する
・受験生たちが精神的に不安定な時や視野狭窄に陥りそうなときは、すぐにフォローする
・そのために観察し見守り続ける
といった関わり方、在り方そのものであると感じます。
アメリカインディアンの子育て四訓として有名な言葉です。
・乳児はしっかり肌を離すな
・幼児は肌を離せ 手を離すな
・少年は手を離せ 目を離すな
・青年は目を離せ 心を離すな
受験生は少年と青年の中間地点の世代です。
目を離さず心も離さず見守っていきましょう。
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