脳の使い方を変えるWeメソッド®WSC ホールシステムコーチング®Whole System Coaching

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成人発達理論×Weメソッド®

2022.08.01

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成人発達理論とは、人間の成人以降の成長・発達に焦点をあてた心理学理論です。この理論に、ホールシステムコーチング®︎(wsc)の「Weメソッド®︎」を掛け合わせるとどうなるのか、考えてみました。

1.成人発達理論とは?

これは「成人以降の知性発達理論」「成人以上の意識発達理論」とも呼ばれ、成人してからの「知性」「意識」の発達を考える理論でもあり、人材育成・人事評価に取り入れている企業・組織もあります。
成人発達理論は、次の5つの段階にわけられています。

(1)発達段階1:具体的思考段階
この段階は、言葉を獲得したての子どもにみられるものです。そのため、すべての成人は、基本的にこの段階を超えているといえます。具体的思考段階の特徴は、具体的な事物を頭に思い浮かべて思考することはできますが、形のない抽象的な概念を扱うことはできません。したがって、この段階は成人期以前のものとされています。

(2)発達段階2:道具主義的段階(利己的段階)
この段階は、成人人口の10%にみられ、極めて自分中心的な認識の枠組みを持っているといえます。この段階は、自分の関心事項や欲求を満たすことに焦点があてられ、他者の感情や思考を理解することが難しいです。自らの関心事項や欲求を満たすために、他者を道具のようにみなすという意味から「道具主義的段階」と形容され、他者の視点を考慮することは大きな難題です。自分の視点のみならず、他者の視点も考慮し始めると、それは発達段階2から3への移行のサインとなります。

(3)発達段階3:他者依存段階(慣習的段階)
この段階は、成人人口の約70%にみられ、組織や集団に従属し、他者に依存する形で意思決定をするという特徴があります。この段階は、自らの意思決定基準を持っておらず、「会社の決まりではこうなっているから」「上司がこう言ったから」という言葉を多用する傾向があります。つまり、他者(組織や社会を含む)の基準によって自分の行動が規定され、組織や社会の決まりごとを従順に守るという意味から、「慣習的段階」とも呼ばれています。

(4)発達段階4:自己主導段階
この段階は、成人人口の約20%にみられ、ようやく自分なりの価値観 や意思決定基準を設けることができ、自律的に行動できるようになります。段階3では、行動基準が周りの存在によって築き上げられていたのに対し、段階4は、自ら行動基準を構築でき、主体的に行動するという意味から「自己主導段階」と呼ばれます。この段階は、自己成長に強い関心があったり、自分の意見を明確に主張したりするという特徴を持ちます。

(5)発達段階5:自己変容・相互発達段階
この段階に到達している成人人口は1%未満で、自分の価値観や意見にとらわれることなく、多様な価値観・意見などを汲み取りながら的確に意思決定ができます。段階5は、自らの成長に強い関心を示すことはなく、他者の成長に意識のベクトルが向かうため、部下を育てるのに適した段階であるといえます。また、他者が成長することによって、自らも成長するという認識(相互発達)があり、他者と価値観や意見を共有し合いながら、コミュニケーションを図るという特徴もあります。

みなさんはご自身について、どの段階にあると感じましたか?私の自己評価は、希望的観測として発達段階4、もしくは、3.7ぐらいあれば良いなと感じました。

2.Weメソッド®︎とは?

ものすごくカンタンにいうと主語を「We=私たち」に変えることです。
例えば、「私は〇〇になりたい」を「私たちは〇〇になりたい」、「組織を〇〇にしたい」を「私たちの組織を〇〇にしたい」と変えるのです。どうでしょう、自分自身も含まれている感覚になりませんか?これがWeメソッド®︎です。
組織を〇〇したいときは、私が組織を変える、変える人と変えられる人がいる対立構造が生まれます。私たち組織を〇〇に変えるときは、自分もそのチームに含まれ、私たちとして変えていくという主体性が生まれます。

2人以上いれば「私たち」になります。「あなたと私」から「私たち」にするのです。「私たち」という枠組みも兄弟・姉妹、友達、恋人、家族、チーム、職場、組織、会社、地域社会、国、世界、地球、宇宙など様々あります。いずれも「私たち」として捉え、考えることができます。主語を「私たち」に変えることで、捉え方が変わり、発言が変わってくるでしょう。

3.成人発達理論×Weメソッド®︎

成人発達理論の各段階で、このWeメソッド®︎を活用してみるとどうでしょう。
発達段階1は成人以前と言われますが、兄弟・姉妹や友達、家族といった具体的な枠組みであればイメージしやすく、「私たち」の思考にできるのではないでしょうか。

発達段階2は、自分中心的な認識の枠組みを持ち、他者の感情や思考を理解することが難しい傾向ですが、日ごろから「私たち」という視点の問いを共有することで、発達段階3への移行を早める効果もあるのではないでしょうか。

発達段階3は、組織や集団 に従属し、他者に依存する形で意思決定をする、自らの意思決定基準を持っていないという傾向があります。Weメソッド®で「私たちの成長のために、私はどのように行動するのか?」という問いを共有することが、他者依存から主体的に行動することにつながるのではないかと考えます。

発達段階4は、自ら行動基準を構築でき、主体的に行動し、自分の意見を明確に主張する特徴があります。「私たち」と主語を変えることで、私の行動が「私たち」にどのように影響を与えるのか、自己の存在価値を高めるとともに、より高い視座を持つことができるようになると考えます。

発達段階5は、他者の成長に意識のベクトルが向かい、他者が成長することによって、自らも成長するという認識(相互発達)があります。こうした存在(リーダー)が「私たち」という言葉を使うことによって、その組織の文化を変えることができると考えます。

まとめ

ここまで、成人発達理論へのWeメソッド®︎の活用を考えてきました。「私たち」という馴染みのある言葉を意識することで、人との関係性や組織の文化を変える力があります。「みんな」というと「みんな携帯電話を持っているのに、私だけ持ってない」など、自分が入っていないことが多いです。ぜひ、私を含む「私たち」を活用して、人と組織と共に成長していきましょう。

記事の著者

コークリエイター・ちえCo-creator Chie

  • WSCコークリエイター
  • 国際コーチング連盟プロフェッショナル認定コーチ(PCC)
  • ホールシステムコーチング®︎認定プロフェッショナルコーチ