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組織にコーチングを導入、どのように進めるのか?②
2018.12.04
「本社の奴ら、現場のこともわからずに、勝手な方針を決めて、
現場に押し付けてきて。上は、言うだけだけど、やるのはこっちなんだ」
「現場は、現場のことしか見えていない。新しいことを言われるとすぐに抵抗する。
自分たちの今のやり方がいいと思いこんでいる。将来のことを考えていない」
こんな具合です。本社と現場の双方に、言い分があるわけです。
こんな時は、どのようにコーチングしたらいいのでしょうか?
目次
1. コーチングを導入したけどうまくいかない!?
ある会社で、組織変革のために、リーダー層のみなさまを6ヶ月間組織変革コーチングしました。キックオフも実施しました。組織の中では、どちらかというと課題の多い部門でした。コーチとして、苦労した現場の一つです。本社の方針と、それを実施する現場の意思疎通が取れず、お互いに、一言で言うと、本社と現場の仲が悪い状態です。お互いに抵抗勢力になっていて、対立関係でした。
「本社の奴ら、現場のこともわからずに、勝手な方針を決めて、
現場に押し付けてきて。上は、言うだけだけど、やるのはこっちなんだ」
「現場は、現場のことしか見えていない。新しいことを言われるとすぐに抵抗する。
自分たちの今のやり方がいいと思いこんでいる。将来のことを考えていない」
こんな具合です。双方の言い分があるわけです。
こんな時は、どのようにコーチングしたらいいのでしょうか?
2. 抵抗勢力、対立関係からどのように進めるのか?
本社と現場の仲が悪い状態です。お互いに抵抗勢力になっていて、対立関係でした。
対立構造の時には、当然、双方の言い分があるわけです。
本社の担当者は、現場訪問を繰り返し、ミーティングを重ね、現状把握やねぎらい活動も行っているものの、現場には、「本部に言っても無駄だ。どうせ、言っても改善されない」というあきらめが根底にあり、溝は埋まらないままでした。
私たちコーチは、本社から送り込まれてきた手先のように、最初、思っていたメンバーもいたかもしれません。みなさん大人ですから、親切で、それなりの対応はしてくださいます。私たちコーチがやることは、深い信頼関係を築きながら、予定のスケジュールを進行していくことが求められます。
そして、「不満」を「改善」の会話に転換していきます。
ここでは、あえて「不満」という言葉を使っていますが、「ご意見」のことです。
「会社のこういうところが、だめなんですよ」
「○○さんは、そんな風に感じているんですね」
「△△さんはどうですか?」
「今、○○さんが言ったこともそうですが、
現場がどれだけがんばっているのか本社はわかっていないと思います」
「そうですか。△△さんは、そんな風に思っていらっしゃるんですね」
「○○さんは、そう感じているんですね」「あなたは、そんな風に思っていらっしゃるんですね」とペーシングして聴いていきます。「会社のこういうところがだめなんですね」「本社はわかっていないのですね」とは、決してペーシングしません。なぜなら、事実かどうかはわかりませんし、それぞれの言動には、肯定的意図があるからです。ここで、押さえるべきポイントは、各メンバーがどのようにこの現状を捉えていて(どんなドラマの筋書きなのか)、どんな信念(文化・考え方)を持っているのかというシステム全体を掴む必要があります。
3.不満を要望に変えようとするが、うまくいかない!?
個人の話「主語が私 I」や他者主語「あなた主語」や「会社主語」を聴き続けても新たな展開(ブレイクスルー)は、起こりにくいです。
各人(私 I)の意見を聞きながら、システム全体(私たちWe)を聴いていきます。
この会話が延々1時間以上、続きます。そして、みんなの中に、「どうせ言っても無駄だ」というあきらめが聞こえてきました。
そこで、コーチの直観を私メッセージで伝えました。
「お話を聞いていると、どうせ言っても無駄だというあきらめが聞こえてきます。
こんなに日々、一生懸命やっていらっしゃるのに。
その一方で、心の底では、そのようにお感じなのは、とても悲しいことですね」
伝えたのは、システム全体の信念(文化・考え方)と全体のエネルギーです。
少し、空気が変わりました
「じゃあ、みなさんは、どんな会社にしたいのですか?」
(欲しい結果(アウトカム・ビジョン・目標)を設定する。意欲・意思を引き出す)
「笑いと活気のある職場」「社員みんなに愛される会社」「世界No1の○○な会社」などさまざまな意見がでました。そして、一つに決まりました。そして、これを単なる概念ではなく、達成したいビジョンとしてシンボル化(絵・ポーズなどにする)していきました。
「あなたがたがやることをやって、会社にどうしてほしいのですか?」
(不満を要望に変える=信念の変換・協働関係を築く)
「どうせ言っても変わらない」
「今まではそうだったとお感じですが、今回は、そうとは限りませんよ。
事実、私たち外部のプロを雇って、本気で取り組んでいらっしゃいます」
このようなやりとりをして、不満を要望に変えていこうとしますが、ところが、うまくいきません。
4. 「クライアント×コーチ=私たち」
不満を要望に変えていこうとしますが、どうしてうまくいかないのでしょうか!?
なぜなら、
「あなたがたがやることをやって、会社にどうしてほしいのですか?」
という、「会社にどうしてほしいか」という対立構造で話を聴いているからです。
さらにチームコーチングではなく、グループコーチングをしていたからです。
*チームコーチングとは、チームを一つのシステム(一生命体・一人格・一つの脳)と捉え、チームをコーチします。私たちのビジョンを明確にし、共有したうえで、共通のゴールを達成するために行うコーチングのことです。
*グループコーチングとは、ビジョンを明確にし、共有したうえで、共通のゴールを達成するために行う集団へのコーチングのことです。
そして、「じゃあ、みなさんは、どんな会社にしたいのですか?」
(欲しい結果(アウトカム・ビジョン・目標)を設定する。意欲・意思を引き出す)
この問いも変える必要があります。
「あなたは、みなさんか!?」ってことです。意味わかりますか?
この問いを「私たちWe」主語に変えて、質問します。
「じゃあ、私たちは、私たちの会社をどんな会社にしたいのですか?」
本部と現場の双方の見解を聴いていると、双方の解釈(お互いがお互いをどう思っているのかというストーリー)に、かい離があることに、気づきました。
NASAの4Dシステムを開発したペルリン博士によると、双方の解釈の95%は間違っていると言っています。
そこで、本社と現場の合同会議に、会議進行者として、参加しました。会議を進行するのもコーチの仕事の一つです。
現場の意見で、事前に疑問や問題に感じていることや、詳しく説明を受けたい項目をリストにして、本社の担当者に渡していました。
この会議は、はじまる前に、成功を確信できました。本社の幹部が直接、現場に説明に来るということは、今までありませんでした。キックオフは実施しましたが、本社の幹部の方は、参加されていませんでした。
「良い会社にしたい」、本社も現場も思いは同じです。全員がそれを実現したいと思っています。質問リストに一つずつ丁寧に答えられる本社の幹部の姿勢に、現場のメンバーは、何かを感じとったようです。チームメンバー・経営陣(管理者)・コーチの三者による協働関係が生まれました。
会議は終了後、みなさんの顔が晴れやかだったのが印象的でした。これを機に、自発的な行動に転換しました。ターニングポイントとなる会議であったことは確かです。
懇親会の席で、あるメンバーが
「反論しても、反論しても、批判せずに、俺らの話を聴いてくれて。
もう、反論してても仕方がないなと思ったよ」
「投げたボールをどれだけ拾うのかと。拾ってくれたもんな」
不満や反論の意見にも肯定的意図があるので、それを批判・評価しても仕方がありません。したがって、抵抗やあきらめムードから「やってみよう」と意識転換を図るのが組織変革コーチングの第一歩です。
そのためには、まず、彼らの話に耳を傾け、社内の課題(不満を含む)を徹底的に聴いていきます。次に、私たちの会社をどんな会社にしたいのか?という理想を聴きます。さらに、不満を改善の会話に転換していきます。そして、効果測定できるように、具体的な行動を決めます。
このようにして、「クライアント×コーチ=私たち」で、組織開発と変革を行っていきます。
まとめ
「クライアント×コーチ=私たち」で機能するために、私たちコーチが行うことは、質問する前に、正確に言うと、コーチングをする前に、コーチの準備をします。コーチの準備とは、「センターにいる」「ニュートラル」な状態で、聴けるようにすることです。自分の解釈である妄想劇場を上演させないように、自分とつながり、相手とつながり、その場につながります。この状態が一番、パフォーマンスを発揮できるからです。
状態が成果を生みます。
成果=スキル(技術)×状態です。
コーチ自身の心技体を一つのシステムとして整えます。
そして、「クライアント×コーチ=私たち」として、一つのシステムとして機能するようコーチングしていくのです。
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