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事業承継を円滑に進めるキーパーソンは誰か!?
2022.10.01

日本は今、企業の後継者不足に直面していると言われています。
帝国データバンクが調査した全国社長年齢分析によれば、2020年時点の社長平均年齢は60.1歳で、経営者の、高齢化が進んでおり、また、60歳以上の中小企業経営者における後継者不在率は、2017年で48.7%という約半数を占める結果となったそうです。
後継者不足の中、事業の承継を家族、親族間で行う企業も多いのではないでしょうか。
家族、親族だからこそ起こってしまうコミュニケーションのトラブルとその解決のヒントをお伝えします。
1.後継者と事業承継まで
日本の企業の多くは、中小企業です。中小企業の多くは、昔から後継者を自分の息子や娘など親族にゆだねるケースが多いのではないでしょうか(そう願うケースも含む)。
「商売をしている家や会社を経営している家に生まれたら、商売を継ぐ」という雰囲気がなんとなく周りからもあります。
私自身も親が会社経営をしているため、そんな雰囲気を感じつつ過ごしていた時期があったような気がします。
多くの企業が後継者不足に悩んでいる時代に自分の息子や娘が事業を承継することを同意してくれたら、親は万々歳ではないでしょうか。
ほっとして、「これで安泰。肩の荷を下ろすことができる」と心から思うでしょう。
しかし実は、引き継ぐ方・受け継ぐ方にとってここからが本当の事業承継の難しさ、試練(鍛錬?)の始まりかもしれません。
2.事業承継
親子間の事業承継の場合、何年か前から役員に後継者(子供)を入れ、準備をしている企業が多いようです。そして事業承継の悩みとして耳にすることが多い「事業承継あるある」は、親が会長として残り、子供が社長に就任する。それにより会長(親)は、事業を承継したあと、「任せる」「これでゆっくり遊べる」と言いつつも、どうしても気になり、口を出してしまったり、会長の権限が社員にも浸透しているため、会長のひとことで覆るという事象です。
なかなか新社長がかじ取りをしようと意気込んで努力をしても、思うように会社という船が進まないというか、逆に社内の意思統一が図れず、迷走してしまう場合もあるのではないでしょうか。
3.事業承継で最も必要なスキル
では、事業承継ではコミュニケーションは大切とよく言われます。コミュニケーションの手法の中で、最も必要な力はなんでしょうか?
「聴く力」です。
(1)新社長(子)の「聴く力」については
・今までのやり方を聴く、仕事の現状を聴く、歴史(経緯)を聴く
・社員の困りごとを聴く
・社員の想い、会長(親)の想いを聴く
など、とにかく一人一人、一つ一つに耳を傾けて丁寧に聴く。
これが何より大切になります。つまり、現状把握です。
(2)会長(親)の「聴く力」については
・新社長の言葉に耳を傾けて聴く
・経験が少なくうまく伝えられない後継者に、相手が何を伝えたいのか真意を察する
・単に長く話を聴くのではなく、経験値があるからこそ真意を汲み取る
自分も同じ悩みを持っていた時があるかもしれません。創業者の場合は、そうではないかもしれませんが、逆に創業者ゆえの悩み、うまくいかないこともあったはずです。
WSCのコラムの中より、「聴く」を改めて確認してみましょう。
(3)「聴く」(傾聴)
読んで字のごとく、耳できいたことを心で受け止めること。自分の解釈を脇に置き、相手のために聴くことです。その際、批判や批評をせず、肯定的意図を聴きとります。そして、言葉以外の雰囲気や感情等も含めて、相手が何を伝えようとしているかに集中して関わります。
*「聴く」に関する記事は、「聴くだけで人は育つのか?」を参考にしてください。
もし、この「聴く」が機能していないとどうなるのでしょうか?
新社長は、会長(親)からは「社長が勝手にやって!」と言われ、
社員からは「私たちは一生懸命働いてきたのに会社に信頼されていないのかな。」と疑念を抱かれる・・・。
と、全く想像していなかった方向に進むことでしょう。
事業承継のため「新体制でやろう!」という意気込みで実施したことが、逆にバラバラになる要因をつくってしまう可能性があるのです。
コミュケーションが重要なことはわかっているものの、親子、親族だからこそ「聴けない」「話せない」「伝わらない」そんなことありますよね。
4.第三者の存在(エグゼクティブコーチングのすすめ)
では、どうして事業承継において親子・親族との会話/コミュニケーションはこじれるのでしょうか?
それは、近しい人ほど「感情」がぶつかりやすいからです。
親子・親族という関係性が会社の中でも持ち込まれていて、実質的な仕事の話をしていても、親子・親族だからこそ「感情」が先に入ってしまい、話にならないということがあるのではないでしょうか。
そこで、家族間の事業承継を円滑に進めるために必要な存在。
第三者の介入です。
第三者といってもできるだけ両者と利害関係のない人がよいと感じます。
私がおすすめするのは、やはりコーチです。
“コーチは、クライアントの話を目的を持って聴いています。そして、クライアントの可能性を信じ、成長を願って聴いています。”
*「聴くだけで人は育つのか?」より
コーチは全身で「聴く」プロフェッショナルです。また、五感を使って聴いたこと、感じたことをフィードバックや質問に変えて伝えたりします。
そして何より、目の前のクライアント(コーチングを受ける人)を信頼し、私たちで共に成長することにコミットしているからです。
経営者ともなるとなかなか悩みや自分の考えを気軽に話す場面も難しくなり、経験者である会長(親)に相談すると、なぜかうまく話せなかったり。
第3者の存在があること、それがコーチであることで事業承継のスピード、密度にグッと変化があるかもしれません。
会長(親)、新社長(子)それぞれ1対1のコーチングを行い。コーチも含む私たち3人でチームコーチングをするのもいいかもしれませんね。
まとめ
事業承継において、家族、親族での承継は素晴らしいことだと私は感じます。しかしながら、事業承継を通して家族間の折り合いが悪くなってしまう例も残念ながらあります。
親はやはり子供がどうしても心配なんです。親は心配で心配で仕方なく思っていることや、期待を素直な言葉で言えなかったりしています。そして、逆に子も親に心配をかけないようにという気持ちが働いて、本人なりに精一杯がんばっています。そこに蓄積した感情が乗り、「それを言いたいわけじゃなかった」と感情をあらわにして言ってしまうことがあります。普段の家族関係でもありますよね。
ですが、会社を経営している以上、そこには従業員がいます。
従業員の方が安心して力を発揮してもらうことができる会社づくりに少しでも力を注げるよう、少し考えてみてはどうでしょうか。
そして、経営者の方にはコーチをつけることをお勧めします。
理由は、コーチングを受けることで自分自身が整う(すごく簡単に言うと)、そしてその方法をコーチから学ぶことができ、社内でも活用できることがあると感じます。
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