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コーチングスキルを活かした営業トークとは

2023.11.01

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WSCでは、コーチングが全く初めての方が簡単にコーチングセッションを学べるように、セッションを組み立てるスキルとして「コーチングの流れ」という一つの型・フロー(理論)を学びます。
コーチングはアート(芸術)とエビデンス(理論)の両輪ですから、型通りにはいきません。
状況によって、必ずしもこの進行順でおこなう必要はありません(型通りであれば、人ではなく、AIで代用できます)が、コーチングと一般的な対話の違いを実践し、コーチングセッションを組み立てていく基本にできます。

「コーチングの流れ」を営業トークの1つとしてもちいることは私自身の経験からも非常に有効でした。
お客様の実現したいことやニーズを明確にし、どの様なサポートを求めているかを明確にする。そうすることで、どのような商品(サービス)を提案したら良いかが明確になります。その結果、売上アップにもつながっていきました。
実際に営業の場面で、どのようにWSCで学んだ「コーチングの流れ」を活かしているかをお伝えしていきます。

1.コーチングの流れ

クライアント(個人・組織)が本当に実現したいことを手に入れるために、 効果的なビジョン創造と目標設定、そして行動計画をクライアントとコーチが共創していくことを目的に、「コーチングの流れ」をWSCでは学びます。
具体的には以下の通りです。

①環境設定
 コーチングの準備、話しやすい場づくり
②目標設定
 達成したい事や、解決したい出来事、手に入れたい状態など、目標の明確化
③意図目的の明確化
 どうして、それを達成したいのか?達成する意味は何か(動機)を明確化
④目標の明確化
 目標を達成したシーンをイメージする
 目標達成後、私たちの将来のビジョンの明確化
⑤現状とのギャップ
 現状把握(できてること、できてないこと)、ギャップ(障害)の明確化
⑥具体的な行動計画
 最初の一歩は何か、いつ、誰がやるか
⑦振り返りとフォロー
 話してみて気づいたこと、次回の日時を決める

「コーチングの流れ」に沿ってセッションを進めることで、漠然としたクライアントの考えや目標は、意図目的が明確な向かうべき目標になります。目標達成のシーンをイメージできることで、目標達成に向けての動機付けが促され、目標と現状とのギャップが明確になります。そこからさらに選択肢を洗い出し、具体的な行動へ誘います。これら一連のプロセスを整理し、体系化しているのが「コーチングの流れ」と言えます。
そして、コーチは、コーチングの流れを超えたコーチングをクライアントと共創できるよう、実践しています。

2.営業トークへの応用

営業トークとは、お客様に商品(サービス)を購入してもらうためのアプローチの一つです。
お客様に商品(サービス)を購入してもらうためには、商品(サービス)にお客様の問題解決や、
目標達成のサポートができる価値が必要でしょう。

コーチングはクライアントの目標達成、問題解決をテーマに進めていきます。単に問題解決するのは表面的なコーチングです。目標達成、問題解決をテーマに本質的な話を進めていく点では、コーチングと営業トークには共通点が多いと考えます。

私自身はビジネスの場で、以下のように「コーチングの流れ」を営業トークに応用しています。

①環境設定(話しやすい場づくり)
お客様との会話は、場を和ませるためのコミュニケーションから始めるとよいでしょう(アイスブレイク)。
お客様の会社との共通点やお客様の業界での話題などをアイスブレイクに使うと効果的です。
アイスブレイクのために、事前にお客様のことを調べておき、話題にすることで、お客様も親近感を感じるはずです。

例)
・今日はお時間いただき、ありがとうございます。
・今はガソリン代が上がって、お互い物流費が上がりますね。
・御社の新商品が、インスタで話題になっているのを拝見しました。

②目標設定
お客様の達成したい目標、解決したい課題などを質問しながら明確にします。
その時、「少しお話をお聴きして良いですか?」と許可を取り、話を進めていきましょう。

質問例)
・今、御社の目標は何ですか?
・今、御社で解決したいと考えている事は、どのようなものがありますか?

③意図目的の明確化
どうして、それを達成したいのか?達成する意味は何か(動機)を明確化します。

質問例)
・どうしてそれを達成したいのですか?
・それを達成することは、御社の組織・チームにどのような意味がありますか?

④目標の明確化
目標達成後、お客様の将来のビジョン・イメージの明確化をします。

質問例)
・その目標を達成したら、御社はどのようになりますか?
・その目標を達成したら、5年後・10年後、御社の組織はどのように変わりますか?

⑤現状把握(できてること、できてないこと)、ギャップ(障害)の明確化

質問例)
・数字で言うと目標達成が100だとしたら、現在はどのくらいですか?
・これまでどんなことに取り組みをされてきましたか?
・やりたいと考えていて、未着手のことは何がありますか?
・何があれば目標を達成できますか?

⑥商品(サービス)の提案
お客様の理想とギャップが明確になったら、そのギャップを埋めるために、自社の商品(サービス)を提案します。導入した場合としない場合のメリット、デメリットの数値化や、他社とのデーター比較も添えて提案するとより効果的でしょう。
お客様へ商品(サービス)の提案する際は、「目標達成(問題解決)に役立つ提案があります。提案してよろしいですか?」と許可を取り、商品(サービス)の提案をしましょう。
人は質問を受けて自分で答えた方が行動しやすいと言われています。営業する側がメリット、デメリットを主張しすぎてしまうのは逆効果になる場合もありますので、気をつけましょう。

質問例)
・○○(商品・サービス)を導入すると、売上UPにどの様な影響があると考えられますか?
・○○(商品・サービス)を導入すると、問題解決にどのように影響を与えますか?
※質問があるかを聴く
ここまでの話で、確認したいこと、不明な点などについて質問を受けます。

⑦ クロージング
コーチングの流れでは、セッション終了に向けてクライアントの行動を明確にします。営業トークにおいてもコーチングの流れと同じくお客様に行動(購買)について質問しましょう。
As ifの質問や、期日を明確にすると効果的です。

質問例)
・もしも選ぶとしたら、どの商品(サービス)にご興味がありますか?(As ifの質問)
・スタートできるのはいつからですか?

※クロージング時に、お客様が沈黙するのは頭の中で考えを巡らせているからです。そのような場合、営業する側が沈黙に耐え切れず話し出してしまうことが多いように感じます。沈黙も会話です。待つということもクロージングの手法だと考え、クライアントの返事を待ちましょう。

3.聴くことを学ぶ

コーチングでは、傾聴することで、信頼関係を構築し、相手の気づきを促す効果があります。 傾聴とは、自分の解釈を横に置き、相手のために聴くことです。その際、批判や批評せず、肯定的意図を聴きとります。そして、言葉以外の雰囲気や、感情等も含めて相手が何を伝えようとしているかに集中して聴きます。
そして、営業トークとは、話す力よりも“聴く力”が大切です。一方的に商品の説明をされると、購買する気持ちが薄れてしまうでしょう。私が上司から教わったのも、「営業は“聴く力”から始まる」ということでした。「聴く力」は営業トークにはとても重要なのです。

営業担当としてお客様の話を聴く時(ヒアリング)では、以下のことを意識しましょう。
□ 自分の興味・関心でなく、相手の価値観を聴いている
□ 相手が言葉で言っていることと、言葉以外(態度・表情・声のトーンなど)が
  一致しているかどうかを聴いている
□ 自分の解釈を横に置き、相手に確認している
□ 相手の沈黙も会話と認識して、待つことができる

まとめ

私は健康食品の営業で、「商品の原料ケールは無農薬・有機栽培で、ビタミンA(β-カロチン)、食物繊維が豊富で・・・」と知っている商品知識を一方的にお客様へ説明し、「商品を一度試してみてください」と商品購入を促す営業スタイルでした。お客様からは、「また同じ商品の説明やろ、前に聴いたからもうええわ」と断られることも良くありました。
「コーチングの流れ」を営業トークにもちいることで、商品(サービス)がお客様の目標達成や問題解決にどのように役立つかを一緒に考える営業スタイルに変化し、「聴く」を学ぶ事で、沈黙【考えを巡らしている】のお客様を、待てるようになりました。

そのおかげで、営業担当者として営業トークの幅が広がったように感じます。
ぜひ、営業の現場や日常に取り入れてみてください。

記事の著者

山本 貴史Takashi Yamamoto

  • WSCコークリエイター
  • 国際コーチング連盟プロフェッショナル認定コーチ(PCC)
  • ホールシステムコーチング®︎認定プロフェッショナルコーチ