幸せな脳の使い方/卓越者たちのバランス
2019.01.17
コーチは、相手が本来もっている力を発揮するためには、どのような関わりをしたらいいのでしょうか?
世の中の卓越者と言われる人たちは、もともと天性の素質があったのでしょうか?
それとも開発による成長でしょうか?
卓越者たちのバランスから幸せな脳の使い方を見ていきましょう。
1.本来の力を発揮するには?
卓越者は、天性のもの?それとも開発による成長?
世の中の卓越者と言われる人たちは、たしかに、天性によるものが大きいかもしれません。開発によって、成長できる部分は、限られているのでしょうか?しかし、本来のもっている力を発揮することはできるのではないかと考えます
実践心理学(NLP)でもディズニー・ストラテジーでモデリングされた卓越者に、レオナルド・ダ・ビンチがいます。彼は、もともと左利きでしたが、「最後の晩餐」は、両手で交互に描いたと言われています。もともと彼は、左利きということから右脳をよく使っていました。それを右手も使えるように、訓練して両利きになったのです。天才・万能人と言われたレオナルド・ダ・ビンチでさえ、あくなき好奇心から、身体を鍛え、平衡感覚を高め、技術を磨き、自分自身を開発していきました。
レイモンド・バート博士によると、「人間の潜在能力を開発するには、身体のバランスをとり、脳のバランスをとること。未来は、両手利きの人にある」ということです。身体の右半身と左半身の調和をとることが、脳の2つの半球を緊密に結びつけ、バランスを促進することを示唆しています。
「コーチングの大前提は、こたえは、相手(クライアント)の中にある」です。
ICFジャパン主催「コーチング・コンバージ2018 in Japan」(2018/11/17開催)の
基調講演:「コーチして成長しつづけるために」
中竹竜二氏(日本ラグビー協会のコーチングディレクター、元早稲田大学のラグビー部監督)によると、
「クライアントの中にも答えがある」
「コーチの中にも答えがある」
そして、
「その辺に答えがある」
「その辺に答えがある」と考えると、気楽であるとお話されていました。
なるほど。様々な見解がありますね。
いずれにせよ、その人の本当のこたえを引き出していくには、脳のバランスを整え、全脳思考にしていく必要があります。それが潜在能力を開花させるカギです。レオナルド・ダ・ビンチは、たぐいまれな全脳思考者として、有名です。芸術と科学、創造性と論理のバランス。彼は、細部にこだわる厳密さ、論理、分析(左脳)をおざなりにすることなく、想像力(右脳)を発揮していきました。
このように、本来の力である潜在能力を開発していくには、ダ・ビンチのように、身体を鍛えたり、マインドマップを使うことでも行えます。さらに、ホールシステムコーチング®を使った会話で、右脳と左脳のバランスを整え、五感を磨き、全脳に開発していくこともできるのです。
2.その人がその人である所以
相手の行動エンジン(プログラム・強み)を知るために、何をしていますか?
たしかに、初回のコーチングで、クライアントさんが大切にしているもの(価値観)、行動の源となっている考え方(信念)、そして、その人の行動エンジン(プログラム・強み)を会話から聴きわけて、その人自身を掴んでいきます。しかし、掴むだけでは、不十分と言えるでしょう。
なぜなら、コーチの役割は、クライアントの望む未来、幸せな生き方に向けた能力開発やパフォーマンス向上だからです。その人の強みが発揮できているのか、現状を把握します。そして、同時に、使われていない部分を開発していきます。
コーチングには、さまざまなタイプ分けや強みを診断できるツールがあります。ホールシステムコーチング®では、これを全脳システム、言動システム、学習システムと言います。人の強みや行動特徴は、意識せず(無意識)、自動的に行なっています。特徴・クセは、それを選択しているという意識は全くありません。これは、その人独特の脳の使い方の特徴と言えます。「部下(相手)の特性を知る」に詳しく書かれていますので、ご参照ください。
コーチの役割・行動指針に関しては、国際コーチング連盟(ICF)のコーチが定めるコーチの「コア・コンピテンシー」に記載されています。これは、コーチだけでなく、一般の方々の自己基盤を見直す要素としても使えます。国際コーチング連盟(ICF)は、相手の自発性を引き出し、パフォーマンスを上げる能力が高い人のコンピテンシーを具現化しました。それがコーチの「コア・コンピテンシー」です。コーチの「コア・コンピテンシー」は大きく4つの領域に分かれていて、それがさらに11項目に細分化されています。
3.無意識へのアプローチって何のこと?
コーチの役割は、クライアントの望む未来、幸せな生き方に向けたクライアントの能力開発やパフォーマンス向上です。
では、具体的に、使われていない部分をどのように、開発していくのでしょうか?
具体的には、コーチングでの会話を通して、意識(顕在意識)へのアプローチと無意識(潜在意識)へのアプローチをしていきます。クライアントとの会話で、使われる言動の特徴を聴きわけて、クライアントが使っている脳がどの部分なのかを分類します。そして、あまり使われていない部分が使えるように、コーチが質問の言葉を変えてコーチングしていくことで、全脳(ホールブレイン)と言われる、全ての脳の領域が使えるように開発していきます。
人は、それぞれ脳の使い方にクセがあります。大きく分類すると、創造力を発揮する人、分析・計算・計画力を発揮する人です。創造力、表現力を発揮している人は、右脳を活発に使っています。また、分析・計画力を発揮する人は、論理的な左脳を活発に使う傾向があります。そして人はもともと全脳です。感じることもするし、考えることもします。どちらか一方という人はいないわけです。しかしながら、クセがあります。意識せず(無意識)、自動的に行なっています。これが、俗に言う、その人のタイプ・強み・行動特徴(メタプログラム)と言われるものです。コーチは、相手の本来の能力を発揮していくために、会話によって、脳の使い方を開発していきます。
世の中の標準的な考え方として、強みを伸ばした方が良いという考え方が大勢です。弱みを伸ばすことに時間を使うより、強みを伸ばしていくうちに、連動して、徐々に、弱みが引き上げられると考えられています。私もこの考え方に、同意します。
しかし、現場では、「部下の強みを伸ばしていくという考え方は、理解している。しかし、仕事は待ってくれないので、目につく弱みを早く改善したい」という声を聞きます。
あなたは、どのようなお考えですか?
力関係に物を言わせて、こちらのやり方で変えようとすると、相手の抵抗を生む可能性が高く、うまくいかないのではないでしょうか?
まとめ
ホールシステムコーチング®では、全脳(ホールブレイン)と言われる、全ての脳の領域が使えるように開発しながら、一般的には、なかなか変わりにくいとされているタイプ・強み・特徴などを開発することができます。その人の強み・特徴を伸ばしながら、弱みの部分を開発して、伸ばしていくことができるのです。
幸せな脳の使い方をして個人能力を開発することが、「私I」の自立・自律につながります。
そして、自立・自律した「私I」から「私たちWe」を開発していきます。
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