人、組織、世代をつなぐ組織変革 ~「私」から「私たち」へ~
2026.08.01

「なぜ、こんなにがんばっているのに変わらないのだろう。」
多くのリーダーがそんな違和感を抱えています。
その背景には、私たち一人ひとりの問題ではなく、私たちが無意識につくり出している組織全体のパターンがあります。だからこそ、これからの組織づくりでは、「私」だけでなく「私たち」という視点で組織を見つめ直すことが求められています。まずは、今、組織で何が起きているのかを一緒に見ていきましょう。
1.「これまでのやり方」が通用しない
質問です。以下の3つの質問のうち、1つには答えてください。
・最近、部下との関わりで難しさを感じることは?
・世代間ギャップを感じることは?
・「私ばっかりがんばっている」と感じることは?
いかがでしょうか。当てはまるものがあった方も多いのではないでしょうか。
なぜ、今、組織変革なのでしょうか?
・人材不足
・多様な働き方
・世代間ギャップ
・エンゲージメント低下
・価値観の多様化
・AIの台頭 など
私たちを取り巻く環境は、大きく変化しています。変化を実感している方が多いことでしょう。
取り巻く環境は変化しているにも関わらず、私たち自身や組織のあり方は、これまでの体験や習慣によって形づくられた自身のパターンや組織のシステムが自動で動き続けています。
様々なリーダーの方々と関わっていて、感じることは、不思議なことに、その人なりに「がんばっている」けれど、「うまくいっていない」ということです。
一言で言うと、「これまでの方法」が通用しない。
そして、「これまでのやり方」が通用しない時代を私たちは一生懸命に生きています。
私(リーダー)ばっかりがんばって、疲弊するパターンです。
例えば、問題が発生⇒リーダーが解決する⇒さらに依存が増す⇒リーダーが疲弊するというパターンです。
では、変化にどう対応していったらいいのでしょうか?
今までの自分のパターンや組織のシステムを変える必要があります。
2.「関係性中心」の進化系「私たち中心」
組織の中で、リーダーの役割は大きいです。
帝国データバンクの調査結果では、「リーダー人材の不足」を実感している企業は67.8%にのぼります。
パーソル総合研究所の「働く10,000人の就業・成長定点調査」によると、「今後どのようなキャリアを考えていますか?」という質問に対して、「現在の会社で管理職になりたい」と回答した人は、15.7%(2026)でした。
67.8%の企業でリーダー人材が不足している一方で、リーダー・管理職になりたい人はわずか15.7%。
管理職になりたくない人は80%を超える計算になります。同様に、日本能率協会マネジメントセンター(JMAM)「管理職の実態に関するアンケート調査」(2023.04実施)では、77%が「管理職になりたくない」と回答しています。
個人の価値観の違いもありますが、構造的な問題でもあります。
過去から現在は、リーダー中心(Leader-centered)、リーダーが引っ張っていく組織運営でした。
昨今、「心理的安全性」という言葉をよく耳にするようになりました。
現在は、関係性中心(Relationship-centered)の組織運営です。
安心して本音が言える関係性、フラットな関係性、働きやすい環境づくりなど、関係性を中心に置いた組織運営がされています。例えるなら、指揮者がいるオーケストラです。
指揮者(リーダー)が一生懸命に指揮をして、各メンバーがその指揮に合わせて、担当の楽器(仕事・役割)を演奏して、共に1つのすばらしい音楽(成果・ハーモニー)をつくっている。
そして、これからは、「関係性中心」オーケストラの進化系で「私たち中心」(We Relationship-centered)
ジャズバンドの時代へと向かっていきます。
ジャズバンドに指揮者はいない。メンバーの音を聴いて、今ここで私たちに起こっていることを見て、聞いて、観察して、即興で、主体的に音を奏でて、新しい音楽を共創して生み出していくジャズバンド。
ジャズを演奏するには、音楽の構造、知識、経験がいります。一見、メンバーが各自、自由に演奏しているように見える即興演奏は、共有された構造と最低限のルールの中で即興をつくり出しています。
そして、間違い(エラー/不協和音)を即座に受け入れて、混ぜ合わせ、新しい音楽に発展するように試みます。
トライ&ラーニングで演奏しています。これは組織運営にも必要なことです。
3.私たち(We)主語が組織を変える
私たち(We)主語を使うことは、システム全体で物事を捉えることの始まりです。
システム思考とは、部分最適ではなく、全体最適で物事を捉え、解決策を考えること。
森も木も見ることです。目に見えることだけでなく、目に見えないパターン、エネルギー、システムを観察して、扱うことです。
システム思考は、アメリカの経営学者ピーター・センゲが提唱した「学習する組織」の核となる考え方です。
センゲは、変化の激しい現代において成功し続ける組織には「5つのディシプリン(修練・学習領域)」が必要だと説きました。
自己マスタリー・・・継続的に私たち個人のビジョンを明確にし、それを深めることであり、エネルギーを集中すること、忍耐力を身につけること、そして、現実を客観的に見ること
メンタルモデル・・・私たちがどのように世界を理解し、どのように行動するかに影響を及ぼす、深く染み込んだ前提、一般概念であり、あるいは想像やイメージ
チーム学習・・・グループで一緒に、探求、考察、内省を行うことで、自分たちの意識と能力を共同で高めるプロセス
共有ビジョン・・・「私たちが創り出そうとする未来の共通像」であり、組織全体で深く共有されるようになる目標や価値観や使命
システム思考・・・システムのパターンの全体を明らかにして、それを効果的に変える方法を見つけるための概念的枠組み
私たち(We)主語は、ある意味システム思考と言えます。
Weメソッド®︎とは、「個を超えて、私たちのハーモニーで新しい文化を共創する」ためのアプローチです。
オーケストラでは、各奏者が自分のパートに完全な責任を持ちつつ、全体の調和を創ります(Collective Harmony)。
一方、ジャズは、個々の即興的な表現が響き合いながら新しい音楽を生み出す(Creative Harmony)。
どちらも、「私I」と「私たちWe」が同時に息づいていて、Harmony(調和)を生み出しています。
オーケストラは、Collective Harmony(集合的な調和)
ジャズは、Creative Harmony(創造的な調和)です。
これからリーダーは、人、組織、世代を「つなぐ力」、ジャズバンドが求められます。
私たち主語で、考え、対話してみる。
その先に、新しいものを共に生み出すCreative Harmony(創造的な調和)があることでしょう。
今日のミーティングの一言目を、「私たち」に変えてみる。その変化は、組織のパターンを変える最初の音になります。そんな小さな一歩の先に、「私」と「私たち」が調和する組織の姿があります。
まとめ
チームコーチングやさまざまな現場で感じるのは、個々が自分らしさを発揮できる組織ほど、変革の推進力が高いということです。
自分を抑えて調和を保つのではなく、一人ひとりが自分らしさを発揮し、その違いを活かしながら、「私たち」で考え、対話し、共創する。そのプロセスの中から、これまでにはなかったアイデアや可能性が生まれてきます。
「私」と「私たち」は、どちらか一方ではありません。
一人ひとりを大切にしながら、私たち全体を見つめる視点を育むこと。
それが、これからの時代の組織づくりであり、Weメソッド®が目指している世界です。
参考文献
- 帝国データバンク リーダー人材不足に関する企業の意識調査(2025年3月18日)
- 日本能率協会マネジメントセンター(JMAM)「管理職の実態に関するアンケート調査」2023年4月実施
- 株式会社 パーソル総合研究所「 「働く10,000人の就業・成長定点調査」
- 論文Organization Science 誌 (1998年 vol.9,No.5)の特集 Coda—Creativity and Improvisation in Jazz and Organizations: Implications for Organizational Learning (Frank,J,Barrett, 1998)
- 「学習する組織―システム思考で未来を創造する」 著者: ピーター・M・センゲ 出版社:英治出版(2011/6/22)
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