脳の使い方を変えるWeメソッド®WSC ホールシステムコーチング®Whole System Coaching

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私たちWeで文化を共創する

2018.11.08

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1.現場にある「やらされ感」

下記のチェックリストに、
あなたの日常や現場で思いあたる節はありませんか?

□やらされる現場の身にもなって欲しいなど
 「やらされる」という言葉をよく使う

□「アイツがやる気がない」だから
 「アイツにやる気を出させよう」 と 「相手」を変えようとする 

□みんなでこの問題を解決しようと「みんな」の問題にする
 「みんな言っている」という言葉をつかって意見を言う

1つでもチェックがついた人は、すごくがんばっている人です!
そして、1つでもチェックがついた場合は、
がんばっているわりに、残念ながら成果が出ていません。

やらされ感や不満を感じてながら、日々、やり過ごしているかもしれません。

もしあなたが『人や組織の成果をあげる役割を担っている人』なら、
チーム・組織で仕事をする中で、どうしたらいいのでしょうか?

2.新しい文化を築くには、既存の文化を知る必要がある

We メソッド®を使って、チームコーチング(組織変革・プロジェクトコーチング)をして
文化が変わった事例を紹介します。
非常に人材育成に力を入れている教育熱心な会社です。

先のチェックリストが3つチェックの入る会社でした。
その会社は、非常に教育熱心で、経営コンサルタントさんも入っていました。
コンサルタントさんから様々な道具・手法が提供されている状態です。

社員さんは、上司に言われたことは、素直にできる優秀な方たちです。
それなりに、結果も出していらっしゃいました。

社長は、プロジェクトコーチングの対話の過程で、
言われたから今まで通りにやる(慣例通り)という受け身の姿勢から、
やりたくないことや成果が出ないことは止めた方がよいと建設的な意見を言える関係性を築き、
コミュニケーションの質を上げて、主体的な集団になることを期待していました。

コンサルタントと道具はある。

それを活かして、今の上下の文化を「私たち」に変えることが
私たちWSCコーチの仕事でした。

社長の悩みは、新しいことを導入しても最初はいいけど、言わないと継続しないこと。
PDCAのサイクルが回らないことでした。

コンサルタントから様々な道具・ツールを提示され、
道具は持っていたけれども、使えず散乱状態でした。

例えるなら、遊び道具、おもちゃを親からいっぱい与えられて、
おもちゃ箱からはみ出して、床に散乱している。
新しい道具を最初は使おうとするけど、使い切れないうちに
新しいおもちゃ、道具がまた与えられる。

だから、プロジェクトはスタートしても、達成しない。
たくさんのレースをスタートするけど、ゴール(テープは切らない)しない。
上司に言われたことはできる。本当に元気に素直にできる。
そして、自分たちで決められない。

まず、使っている言葉を「私たち」に変えました。
コーチの私たちが「どうしたいですか?」と聴くと、沈黙。
戸惑って答えられないという状況から組織変革のプロジェクトコーチングはスタートしました。

日本によくある「全体を乱してはいけない。」という文化がありました。
海外ではあまり考えられない光景でしょう。

全体を乱してはいけないので、自分を押さえる。自分の意見を言わない。自分で決めない。上に従う(いいことでも、悪いことでも)ということが起こります。この従う上下の文化では、どんな道具を入れても継続的な自走はできません。

3.「言葉」を変えることは「文化」を変えること

そこで、私たちコーチがしたことは、
『「私たち」としてどうしたいのか?』
というビジョン、目標づくりと道具・おもちゃの整理です。

『「私たち」は何のためにこれをやっているのか?』

色々な意見が出た結果、
(与えられた道具を使うことを)やめる。ことになりました。
今までは、「やめよう」と提案することができなかったのです。

状況をどのように捉えるかで、結果が変わりますよね。

彼らは、つかう言葉を
「上司が言ったから、私はこれをやる」

「これは私たちのゴール(またはビジョン)だ。
 だから私たちはそれを一緒にやろう」

に意識して変えました。

そして、
決定事項を多数決ではなく
話し合いで決める。

ことを始めました。

あることを多数決でなく、「話し合いで決めてください」とお願いしました。
沈黙になって、なかなか決められません。

長い沈黙が続きました。

社長は状況を静かに見守っています。
そして、ある役員の方が、「自分たちはもっとできると思っていたけど、
こんなにコミュニケーションができない」と驚愕し、悔し涙を流されました。

4.どのような効果があったのか?

社長に導入してどのような効果があったのかインタビューしました。

社長曰く、一言で言うならば、

『山が動いた。』

「私たち」という言葉をつかう文化が浸透し、
今は、他社の人が、「社長もいるのに、これだけ賛否、両方の意見が出るのがすごいですね」と言われるくらいにフラットな文化の会社に変わりました。

そして、コミュニケーションの質が上がりました。導入前は一方通行の報告でしたが、導入して会議の内容、進行が双方向に変わってきました。社内コーチ(コーチ養成プログラム ホールシステムコーチング®受講)を中心に、プロジェクトコーチングで体験したことを幹部会議や事業計画会議などで実践しています。

「やらない事を決める」というような本音が出る会議ができるようになったのは、大きな変化です。前向きなことは言いやすいが、前向きなことや目的のために、今までやってきたことを止めることや変えることが言えるようになりました。

例えるなら、与えられたおもちゃに興味がなくて、使っていなかった状態から、今は使いたいものと使わないものを意思表明して、創意工夫して使って遊んでいる状態になっています。「私たちという文化」になってきたと感じます。対話が増え、雰囲気も良くなっています。
売上に関しても、対前年 成長率 105%です。(過去最高売上)

「私たち」という言葉を自分が意図してつかい、幹部もつかっています。今後は現場スタッフにも拡がるように、社内コーチによるコーチングを展開していきます。

まとめ

いかがでしたでしょうか?
普段、自分が使っている言葉は、世界(状況)をどのように捉えているかのあらわれです。
言葉は文化です。小さな違いが大きな違いをつくることでしょう。

記事の著者

生嶋 幸子Sachiko Ikushima

  • ホールシステムコーチング®共同開発者
  • 国際コーチング連盟マスター認定コーチ(MCC)(関西女性初)
  • ホールシステムコーチング®認定プロフェッショナルコーチ

株式会社コーチ・アイエヌジー 代表取締役
自社開発したホールシステムコーチング®が2014年国際コーチング連盟(ICF:本部アメリカ)からコーチ・トレーニング・プログラム(ACTP)として日本で3社目に正式に認定される。2000年よりコーチとして活動。エグゼクティブコーチング、企業向けプロジェクトコーチング、コーチ養成スクールなどを中心に人と組織の変革を行う。
2017年国際コーチング連盟グローバル・カンファレンス(ワシントンD.C)でアジア人唯一のスピーカーを務める。