脳の使い方を変えるWeメソッド®WSC ホールシステムコーチング®Whole System Coaching

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私たちは変わるのか?/人と組織の成長によりそう

2018.11.07

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人は、変わるのでしょうか?あなたから見ると、見込みがないと思える人、文句ばっかり言っている人は、果たして変わることができるのでしょうか?
たしかに、変わらない人もいるでしょう。
しかし、本当に、変わらない人はいないのではないでしょうか?

1.見込みがないと思える人、文句ばっかり言っている人

なぜなら、変わりにくいと感じる人も、ゆるやかには、変化しているからです。
その変化には、大きく3つの過程があります。

1つ目は、「他責」から「自責」への転換です。
2つ目は、「私とあなた」から「私たち」への転換です。
3つ目は、人や組織での「役割」から「貢献」への転換です。

6ヶ月間のチームコーチングを行っていたある会社は、本社と現場の会議が終わったとき、参加者のみなさんは、晴れやかな顔をしていました。本社も自分たちのために、一所懸命やってくれているんだということを理解されました。双方のお互いへの解釈は、まさに妄想劇場で、真実ではなかったことが対話で明らかになっていきました。

詳しくは、「組織にコーチングを導入、どのように進めるのか?②」参照してください。

この対話は、被害者意識から当事者意識に転換した瞬間でした。この会議を境に、取り組み姿勢が変わりました。自分たちで職場を変えることができるかもしれないという期待感に、目の輝きがまったく違っていました。目の輝きは、正直です。本社の幹部の方の話を直接、聞けたことで、その話から会社側の社員に対する思いや熱意を受け止め、会社の方針を理解できたようです。

意識が変われば、必然的に行動が変わります。誰かがやってくれるだろうではなく、話し合って、役割分担と責任を明確にして、各人が率先して、主体的且つ計画的に継続して、行動し、2つのテーマに取り組んだ成果は、従業員満足度のアンケートデータにもあらわれています。そして、「本社は現場をわかってない」から「会社も自分たちのことを考えてくれている」と発言も変わってきました。

当初、変化は、目に見えません。目に見えないから、このまま続けてよいのか焦ることもあります。

竹の成長の話を聞いたことがありますか?
竹の種子から芽を出すには、長い年月が必要です。最初の3~4年間は、目に見える成長はありません。そして、5年目に、ようやく地上から芽を出すと、わすか6週間で、高さ30メートルの丈夫な竹に成長すると言われています。物事には、成果が出るか出ないかの境目があります。その境目のことを臨界点と呼びます。
臨界点とは大辞林の辞書によると、 「低温相から高温相への相転移において、低温相が存在しうる限界の温度。」という意味です。つまり、 臨界点を超えたときに、変わります。

このように、あなたから見ると、見込みがないと思える人、文句ばっかり言っている人だとしても、人は、臨界点を超えたときに、変わります。その変化は、ゆるやかだったとしても、2つの変化の過程があります。
一つは、他責から自責に転換します。
もう一つは、私から私たちへの転換です。自他共に認める成長や変化を見ることができ、数字データにもあらわれ、変化を実感することができます。

2.私だけ変わらなくていいの?
あなたはあなたのままでいいの!?

あなたは、あなたのままでいいのでしょうか?変わる必要はないのでしょうか?
たしかに、あなたは、あなたなのですから、変わる必要はないかもしれません。

しかし、欲しい結果があるのに、今までのあなたでいいのでしょうか?
なぜなら、欲しい結果・目標があるにもかかわらず、何も変えなければ、何も変わりません。そして、欲しい結果は手に入らないからです。つまり、欲しい結果・目標があるのであれば、変えるのは、あなた自身ではなく、あなたの言動を変えていくのです。

あるメーカーさんでのコーチングでのことです。

コーチ 「今回のことで、何を学ばれましたか?」
Aさん 「相手を変えるのではなく、まず自分が変わることですね」
コーチ 「おっしゃる通りですね。
     自分が変わることで、あるいは自分のコミュニケーションのやり方を
     変えることで、結果的に相手が変わるということはありますよね」
Aさん 「自分が変わることで、相手の反応が変わってきたんですよ」

「過去と他人は変えられない」
「未来と自分は変えられる」

わかっているけど、なかなかうまくいかないという経験をお持ちの方も多いのではないでしようか?

コーチ 「何を変えられたんですか?」
Aさん 「あるメンバーとの関係が最悪で、あいさつもしていなかったんです。
     でもこのままではいけないと思い、毎朝、するようにしたんです。
     相当、相手に無視され続けたんですけどね。それでもあいさつし続けました。
     ある日、相手からあいさつが返ってきたんです。うれしかったです」
コーチ 「うれしいですね。無視され続けてもあいさつをし続けたAさんはすごいです。
     相手からあいさつが返ってくるまで、どれくらいあいさつし続けられたのですか?」
Aさん 「6ヶ月やり続けましたよ」
コーチ 「6ヶ月も!よく挫折せず、やり続けられましたね。
     原動力は何だったんですか?」
Aさん 「反応がないのはつらかったですけどね。
     自分が変わるって決めてましたから」
コーチ 「すごいですねー。本当に、Aさんのこと、心から尊敬します。私は、Aさんに感動しています」
Aさん 「相手との関係も良くなってきたし、周り、チーム全体も雰囲気が
     良くなって明るくなってきました。前は暗かったですからね。」
コーチ 「もう一度、聞かせてください。今回の体験で学んだことは何でしたか?」
Aさん 「継続は力なりを実感しました。そして、結果を出すために、相手を変えようとするのではなく、
     まず自分が変わることで、関係性が変わることを学びました」

このように、人は変わります。しかし、相手を意図的に変えようとすると、抵抗が生まれます。このようなご経験をお持ちではいなでしょうか?私たちは、後見人(見守る人)という選択をすることもできます。そして、相手を変えるのではなく、まず、自分自身が変わるのです。つまり、自分自身のコミュニケーションのやり方を変えることで、相手との関係性を変えていきます。コントロールするのは、相手ではなく、自分です。

そして、関係性です。今までと違う行動を選択することで、今までとは違う関係性が生まれます。行動パターンが違いますから、何らかの変化をもたらします。小さな変化が大きな変化をつくるカギとなるでしょう。信念をもってやり続ければ、必ず望む未来を手にすることができると言えるでしょう。

3.後見人として

後見人を辞書で引くと、「一般に、ある人の背後にいて、その補佐や世話をする人。
後見する人」と書かれています。

もう一度、質問します。

あなたは、あなたのままでいいのでしょうか?
変わる必要があるのでしょうか?

たしかに、一般的に、変身願望は高いのですから、変わりたいと願うことは自然なことです。
しかし、私は、あなたはあなたのままでいいと考えています。
なぜなら、私たちは、完璧ではないけれど、完全です。変えるのは、私たちの部分です。それは、物の見方やコミュニケーションの仕方、言葉の遣い方や身体の使い方などです。

あなたは、あなたのままでいいのです。そう思いませんか?
変えるのは、私たちのある部分でいいのです。

先のAさんも自分が変わるということを選択されましたが、Aさん自身のすべてを変えられたわけではありません。あることがきっかけで、相手があいさつしなくなって、最初は、Aさん自身もあいさつしないという状態が続きました。ところが、Aさんは、だんだんと職場の雰囲気が悪くなっていくのを感じて、何とかしたいと思われ、「相手が無視しても、あいさつをする」という行動を選択されました。行動を変えられたのです。

したがって、あなたは、あなたのままでいいのです。自分自身を変えようとがんばりすぎると、人(相手)を変えようとするときと同じように、自分の中に、抵抗が生まれるかもしれません。自分には、できている部分もあるし、できていない部分もあります。
それを含めて、自分です。そんな自分を認め、変えられる部分を変えていけばいいと思いませんか?

まとめ

「All students, All trainers.」という言葉があります。
「みんな生徒で、みんなトレーナー(コーチ)」、誰からも学べ、みんな学習するのです。
私たちは、お互いの成長を見守る「後見人」同志です。

記事の著者

生嶋 幸子Sachiko Ikushima

  • ホールシステムコーチング®共同開発者
  • 国際コーチング連盟マスター認定コーチ(MCC)(関西女性初)
  • ホールシステムコーチング®認定プロフェッショナルコーチ

株式会社コーチ・アイエヌジー 代表取締役
自社開発したホールシステムコーチング®が2014年国際コーチング連盟(ICF:本部アメリカ)からコーチ・トレーニング・プログラム(ACTP)として日本で3社目に正式に認定される。2000年よりコーチとして活動。エグゼクティブコーチング、企業向けプロジェクトコーチング、コーチ養成スクールなどを中心に人と組織の変革を行う。
2017年国際コーチング連盟グローバル・カンファレンス(ワシントンD.C)でアジア人唯一のスピーカーを務める。