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指導者とリーダーの違い

2018.11.20

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指導者とリーダーの違いと聞かれると、皆さんは何と答えますか?
皆さんの周りにいる指導者やリーダーを思い出してみて下さい。違いを比べると、色々と見えてくるのではないでしょうか?
今回は、指導者とリーダーの違いに焦点を当てて進めて行きたいと思います。

1.指導者とリーダーの定義

様々な業界で、指導者もしくはリーダーと呼ばれる方はいます。
指導者とリーダーは以下の様に定義してみました。

【指導者】
1、学問やスポーツなどの手引きや助言を行う人。「技術指導者」
2、国家や団体を率いる立場にある人。「国家指導者」

【リーダー】
指導者。統率者。指揮者。先頭となるもの。
グループ、集団を代表、指導、先導、統率する存在

2.指導者とリーダーのちがいについて

上記の指導者とリーダーの定義を見てみると、指導者、リーダーとも同じ意味で
使われることもある様に感じました。
そこで、コーチとして活動している方々に指導者とリーダーの違いについて、
ヒアリングしてみました。

①リーダーは、社長でも、部下でも、ちびっ子でも誰でもが自発的になれる存在だと思う。
指導者は、文字通り、指導する立場の人間だから、誰でもって訳ではないと思う。

②Leaderを日本語でいうと導く人で、指導者を英語でいうとTeacherです。
Leaderは先頭に立って旗を振ってみんなを連れて行く、またはモチベーションをあげる人。
指導者はhow to を教える人でしょうか。ざっくりと今思い浮かんだことをあげてみました。

③Leader は背中を押す人、チームを包括的に見ながら全体と個人の全部を見ている人、
指導者はスキルアップのために何かをする人。

④指導者:トレーナー リーダー:代表者、模範者 束ねる人

⑤リーダーはリードする人だけどフォロアーのリーダーもいるのでチーム・組織あるいは
共通の目標に向けて共に歩む人。コーチ的な存在。主語は、私たちな感じです。

⑥指導者という言葉のイメージは、上から教えてくれる人。
自分の経験をもとに、ティーチしてくれる人という感じがします。
指導者の方がリーダーより上の位置にいる感じがします。上下関係のようなイメージ。

⑦指導者は教える人(ティーチ)、リーダーはチームで共に歩む人であり、一緒に目標を
達成する人(コーチ的な感じ、主語が私たち)

⑧リーダーとは、相手を承認し、信頼関係を築き、人やチームに影響を与えて、
目標を達成する人だと思います。
指導者は、行く道が決まっていて、道の先頭に立って、案内しているイメージがあります。

⑨指導者は、知識や技術を教える人。先頭に立ち、他の人を従えているイメージもあります。
一方、リーダーは皆の意見を聴きながら一つにまとめる調整をする人。
サーバントリーダーシップなんて、最近よく聞きますね。あんな感じです。

松下 幸之助 著『指導者の条件』に、この様なくだりがあります。

ある記者が松下幸之助に下記のような質問をした。
「指導者、経営者にとって、ただひとつ、必要な条件、これだけは、絶対に持って
いなければならない条件をひとつだけ挙げて頂けませんでしょうか、いかがでしょうか」
「う~ん、そうですなあ、ひとつね、ひとつだけですな。ま、ひとつだけ指導者に必要な
条件を挙げよと言われれば、それは、自分より優れた人を使えるということですな。
そう、これだけで十分ですわ」

引用:東洋経済 ONLINE 松下 幸之助が考えた「指導者の条件」とは?

ヒアリングの結果、指導者は専門的知識経験を持ち、ティーチングで相手に教え導く人。
リーダーは、チームと共に(Weメソッゾ)目標まで進みながら、共に成長する(伴走する)人。
その様に伝わってきました。

3.良き指導者、リーダーになるために

では、良き指導者、リーダーになるためには、何が必要でしょうか?

指導者やリーダーは、メンバーに向かって質問したり、アドバイスしたり、指示したり、
チャレンジする事を求めます。

そんな時、相手に良い関係が築けてないと、「そう言うあなたは、できるの?」といった
反発が生まれてしまいます。
そこでご紹介したいのが、マサチューセッツ工科大学のダニエル・キム教授が提唱している
「成功循環モデル」です。

【グッドサイクル】
①関係の質…相互理解があり尊重しあってる。
②思考の質…お互いを助け合う思考が生まれ、重要な情報やアイデアが共有される。
③行動の質…自発的に、新たなチャレンジや助け合う行動が生まれる
④結果の質…売上や成績が向上する。
⑤関係の質…さらに組織の関係性が良くなる。

【バッドサイクル】
①結果の質…業績が悪い
②行動の質…結果を出すための行動目標を定める。
③思考の質…行動目標を達成する事のみ注力し、創造的な思考ができなくなる。
④関係の質…対立や命令。責任のなすり合いや自己防衛がおきる。
⑤結果の質…売上が思うように伸びない。

「成功循環モデル」とは、組織が長期的に成功し続けるための考え方です。
図1にあるように、4つの質(関係の質、思考の質、行動の質、結果の質)から構成され、
この4つの質のうち、どの質を最初に高めるかによって成果が出ない「バッドサイクル」になるか、成果が上がる「グッドサイクル」かに分かれます。

グッドサイクルは、「関係の質」を高めることから始まります。「関係の質」を高めるには、
お互いを尊重した上で指導者、リーダーとメンバーが理解し合い、課題に対して一緒に考えるようにする事が大切です。「尊重する姿勢」とは、「メンバーを認める事」です。
詳しくは、「相手を認める事はどういうこと?」参照

「関係の質」が高まると、メンバーは自分から課題に気づくようになり、仕事を面白いと感じます(「思考の質」の向上)。そして、自発的に行動するようになり(「行動の質」の向上)、その結果として、成果が上がり(「結果の質」の向上)ます。最終的には、信頼関係が高まります(「関係の質」のさらなる向上)。

良き指導者、リーダーになるためには、まずは「関係の質」を高めることが大事です。
この方法は「遠回り」するように感じるかもしれないが、長期的にみると「関係の質」
というシステムを高める方が、近道です。

まとめ

僕の印象ですが、優れた指導者やリーダーは、人間的に魅力がある様に感じます。
いくら聞こえのよい言葉で飾っても、姿勢や生き方が薄い人が話すと、重みが感じられません。

とはいえ、スーパーマンである必要はありません。つねに指導者やリーダーがチャレンジしている姿がメンバー達に大きな影響を与え、組織の文化が変わって行くと信じています。

指導者やリーダーは【体現者であれ】、その姿勢が「関係の質」を高める事に大きな
影響を与えます。

記事の著者

山本 貴史Takashi Yamamoto

  • WSCコークリエイター
  • 国際コーチング連盟プロフェッショナル認定コーチ(PCC)
  • ホールシステムコーチング®︎認定プロフェッショナルコーチ