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ファミリー・ビジネスとコーチング

2019.01.10

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あなたはファミリー・ビジネスという言葉を知っていますか?
日本語では「同族経営」とも呼ばれ、どちらかというと古い企業形態で不祥事の温床というネガティブなイメージを持たれがちです。

実際は、
・日本の上場企業の53%
・日本企業の97%
・全日本の雇用の77%
がファミリー・ビジネスで、日本の景気の鍵を握っているといっても過言ではありません。
ここではファミリー・ビジネスと、その発展と永続にコーチングをどう活かすかについて述べていきます。

1.ファミリー・ビジネスの特徴

一般的に同族企業と呼ばれる経営の形態を指しますが、法人税法で定義されている同族企業とは別に、創業者一族などのある特定のファミリーが、会社の株式及び経営のいずれか又は双方を実質的に支配している、あるいは会社の経営方針に大きな影響力を持つなどの企業をファミリー・ビジネスと呼びます。

ビジネスにファミリーの要素が加わるため、経営者は、より複雑なステークホルダー(利害関係者)と関係性を構築する必要があります。(参照:三円モデル)
これは日本だけの特徴ではなく、世界の主要国で、ファミリー・ビジネスは全企業の60%-90%を占め、各国の経済で主要な役割を担っています。欧米では、ファミリー・ビジネス研究室を設置するビジネススクールが80校にものぼり、学生、経営者、プロフェッショナルに向けた教育が盛んに行われています。

2.ファミリーミーティングの必要性

ファミリーミーティングとは、子供を含む一族が定期的に集まるイベントを中心としたプログラムのこと
で、欧米の同族企業の多くが実施しています。
そして集まりを通じて、経営陣への理解を進めると同時に、ファミリーの結束を図るのです。

日本でも、事業承継のタイミングだけでなく、上記の三円モデルに含まれる、全てのファミリーメンバー(子供や配偶者、ビジネスに直接参画していない者も含む)が参加して、定例的にファミリーミーティングを開催するのがファミリーの成長と永続のために望ましいと言われています。

日本では多くの場合、事業承継業務の一環として、主に弁護士や税理士などの専門家が進行を担っています。
そのテーマは

・強いファミリーと強いビジネスをつくる
・将来のオーナーシップを計画する
・ファミリーメンバーのビジネスへの参加を計画・調整する
・財産の管理について話し合う
・事業承継のプロセスを共有する
・ファミリーの価値観・伝統・歴史を維持・伝承する
・ファミリーと取締役会の関係を管理する
・摩擦を早期に発見し、解消する
・ファミリーの夢を共有する
など多岐にわたります。

ではどのように実施するのがいいでしょうか?

3.ファミリーミーティングにコーチングを活かす

子供や配偶者、ビジネスに直接参画していないメンバーも参加するファミリーミーティングでは、多様なメンバーのコミュニケーションスタイルに合わせた対応が必要です。そのためコーチによる、チームコーチングの実践が効果的です。

コーチが進行役を担当します。そしてまずファミリーミーティング名を全員で決めます。
あるファミリーでは、双子の孫娘の名前から「リコ・チコ会議」と命名しました。
これだけでも、次世代につながるイメージを全員で共有できます。

またミーティングの「場」におけるグランドルール(正直に伝える、最後まで聴く、など話し合うためのルール)をファミリー全員で策定します。そのルールに則り率直なフィードバックを伝えるように促し、ファミリーに起こりがちな年功序列や遠慮、忖度をなくします。

それから
・ファミリーの発展と永続に基づく理想目標
・そのために必要な達成目標
・達成目標を実現するためのプロセス目標

を策定します。
そして目標について、定期的に開催するファミリーミーティングにて、下図「学習のサイクル」を回すことにより、ファミリーで考える場を持ちます。

ミーティングを通して
・ファミリーの夢を共有する
・ファミリーの価値観・伝統・歴史を維持・伝承する
・摩擦を早期に発見し、解消する

など、ファミリーメンバーのビジョンを共創し、信頼関係を構築し、関係性の質を改善することで、いわゆる「お家騒動」の芽を摘むことになり、スムーズな事業承継ができることでファミリー・ビジネスの発展と永続につながるでしょう。

まとめ

2017年に行われた帝国データバンクによる調査では、同族継承企業では、66.9%が後継者不在、後継者候補が「非同族」である企業は、3.7%にとどまります。
また、経済産業省の推計によれば、後継者問題等による中小企業の廃業が急増することで、2025年頃までの10年間で約650万人の雇用、約22兆円のGDPが失われる可能性が示唆されています。ファミリー・ビジネスの発展が日本の未来に直結しています。

そこで大事な役割となるのがファミリーミーティングです。
そして今後コーチングがファミリー・ビジネスに重要な役割を果たすことになるでしょう。

記事の著者

矢頭 聖子Kiyoko Yatoh

  • WSCコークリエイター
  • 国際コーチング連盟プロフェッショナル認定コーチ(PCC)
  • ホールシステムコーチング®︎認定プロフェッショナルコーチ

コーチ&ファイナンシャルプランナー。
元金融系システムエンジニア。2005年に独立。
現在は経営者や管理職、就職・転職・起業志望者を対象にコーチングとファイナンシャルプランナー両方のスキルを活かした個別相談やセミナーを実施。
また中高生やその保護者へのキャリア教育、金銭教育にも取り組んでいる。