脳の使い方を変えるWeメソッド®WSC ホールシステムコーチング®Whole System Coaching

  • Tweet
  • Share
  • Line

どうしたら「存在感」「影響力」を発揮できるのか?②

2019.07.01

  • Tweet
  • Share
  • LINE

経営者、リーダー、管理職、教師、講師、トレーナーなど、人前で話す機会のある人に必須なプレゼンス(存在感/影響力)。

「どうしたら「存在感」「影響力」を発揮できるのか?①」では、違いを生む違いの見つけ方
憧れのあの人と自分との違いは何だろう?
あるいは、理想の自分像と現状の自分との違いは何だろう?
という観点で違いを生む違いを「プレゼンス(存在感/影響力)」までお伝えしました。

話す機会が多いリーダーの方たちの多くは、「何を話そうか?」に意識が向いているようです。それは、とても重要なことだと感じます。でも、それだけではないのです。
今回は、理想に近づくための具体的な方法について見ていきましょう。

1.「何を話そうか?」に意識が向くワナ

話す機会が多いリーダーの方たちの多くは、「何を話そうか?」に意識が向いているようです。それは、とても重要なことだと感じます。でも、それだけではないのです。

コーチしていたリーダーの方がお話されている様子をビデオ撮りしたものを見て、お互いにフィードバック(意見・感じたことを言う)していたときのことです。自分としては、いつも通り自分のペースで、ポイントを強調して、話をしているものの、相手の反応が薄いとお感じの方です。

自分のビデオをご覧になり、長い沈黙「・・・・・」の後、その方は、おっしゃいました。
「ちょっとショックです。これでは、伝わらないはずだ」

ビデオには、聞き手(相手)の反応や手ごたえがなくても、一方的に会話を展開されている姿が映しだされていました。そして、相手の反応が薄いために、どんどん声が大きくなって、同じお話を繰り返しされています。もし、私が部下なら、正直、ずっと聞いているのは、つらいなあと感じます。一対一の場合は、随時、聞き手(相手)に確認しながら、双方向の会話を展開されています。ビデオは、正直です。直球で、自分に必要なこと、改善策をフィードバック(意見・感じたこと)してくれます。

ところで、先ほどの子どもから「お父さん、何を言ってるのかわからない。これじゃあ、売れないよ」と言われた販売会社の営業マンは、どこが具体的にわかりにくいかを配偶者や親、子どもからの忌憚のない意見をもらい、それを営業に活かし、営業成績がトップクラスになられました。憧れの人との違いを明確にするには、まず、自分でビデオの自分の姿を観察し、さらに、第三者の視点からの観察をフィードバックしてもらうことです。

フィードバック(意見・感じたこと)を活かすかどうかの取捨選択は、その人自身にあります。しかし、その前に、相手からの自分に対するフィードバックを反論せず聞くことができるかどうかで、成果が変わってきます。

したがって、客観的に観察することは、モデリングです。

「今までに、ビデオ撮りはしたよ」という方も大勢いらっしゃると思います。あるいは、「それなら、今までにやったことがあるけど、それほど効果的ではない」と思っていらっしゃるかもしれません。
実践心理学NLPのモデリングは、モノマネではありません。ただのモノマネだと思っていませんか?単に言動をまねることではありません。プレゼンテーションだけではなく、新しいことをはじめるときにもモデリングは使えます。一から自分で新しいしくみや、やり方を行うのは、時間がかかりそうでむずかしく感じます。

リチャード・バンドラーたちがミルトン・エリクソンをモデリングしたように、既にうまくいっている人をモデリングした方が短い時間で、最大の成果を手に入れることが可能になるでしょう。

2.モデリングの3つのポイント

モデリングするポイントは、3つあります。
(1)身体(姿勢・身体の使い方)
(2)言葉(外側に聞こえてくる言葉と内側で話している外側には聞こえてこない言葉)
(3)視点(何に意識を向けているのか、どこにフォーカスしているのか)

以上の3つのポイントをまねていきます。
表面的には、同じように言動・ふるまいをまねていきますが、内側の意識や視点がまったく異なります。この違いが大きな成果を生むのです。
成果=スキル×状態です。

第84回のアカデミー賞に選ばれた元英国首相サッチャーの伝記映画「マーガレット・サッチャー鉄の女の涙」で、元英国首相サッチャーを演じ、主演女優賞に輝いたメリル・ストリープはこの役を演じる準備として、英国国会議員を観察するために、庶民院を訪れた(観察)と報じられています。
また、アメリカ英語を話す彼女は、イギリス英語を話すサッチャー元首相の肉声を1週間、毎日聞いて、発音、声のトーン、話し方をまねて練習したそうです。

そして、これだけの入念な役づくりをした彼女は取材に対して「この役柄には、実際のサッチャー女史が抱いていたような情熱と注意深さを持って挑もうと思います。私の気力が彼女の持っていた気力に近づくことを期待するのみです」と語っています。

このことからもわかるように、単にものまねではなく、その人の内側の意識や視点をモデリングすることが成功の秘訣です。

3.オリジナリティ(独自性)を出すには?/守破離の離

では、あなたならではのオリジナリティ(独自性)を出すには、どうしたらいいのでしょうか?
お手本をまねるところから出て、自分の色・オリジナリティ(独自性)を発揮するには、どうすればいいのでしょうか?

たしかに、自分の色をすぐに出すのは、むずかしいかもしれません。あの人は独特の個性があるけれど、自分にはそこまでの個性はないと思っていませんか?
しかし、自分の色、個性のない人などいるのでしょうか?
なぜならば、人はもともとオリジナル(他に同じ人はいないその人本人)だからです。オリジナリティ(独自性)がないのではなく、自分の良さがわからずに、発揮できていないと言えます。

「どうしたら「存在感」「影響力」を発揮できるのか?①」で、金メダリストの先輩をまねて、守破離の守を徹底し、オリンピックで金メダルをとることを目標にしていた選手の話をしました。実は、その選手は、前の試合で優勝できずにいました。  
結果として、望む成果を手に入れていないため、さらに微細な点を観察することに取り組まれました。

後に、金メダリストとなるその柔道選手は、インタビューで「そのときは、やるべきことは全てまねた(モデリング)という思いで、次に何をしたらいいのかを見い出せずにいました。
そして、先輩の稽古を目を凝らして見ていると、あることに気づいたんです。音が違う。投げられた相手が畳に体が叩きつけられる音が、自分と先輩とは、違うことに気づいたんです」
「音が違うと気づいた時、まだ、やれることがあると思いました」

投げられた相手が畳に着地するときの音の違い。微細な観察力としか言いようがありません。
まさに、守破離の破、「教えの言葉から抜け出し、真意を会得する」を実践されました。
守破離はその道を極めるための成長段階を示した言葉で、道を極める成長段階は、 文字通り守・破・離の三つの段階にわけられています。

後に、見事、金メダルをとられ、現役を引退されました。現役引退後は、今までの経験を活かし、後進の指導にあたっていらっしゃいます。守破離の離、「型に一切とらわれず、自在の境地に入ること」と言えるでしょう。

毎年、年末や番組編成の時期に、ものまね番組が放送されます。
元祖ものまねタレントでブレイクしたタレントさんがいらっしゃいます。
彼は、歌手やタレントさんの特徴を大げさに取らえること(守破離の離)で、ブレイクした人だと言えるでしょう。元祖ものまねタレントさんの年末のディナーショーは、チケットが即完売するほどの大人気です。

このように、自分なりのオリジナリティ(独自性)は、基本を忠実に守るということの上に成り立つという考え方もできるのではないでしょうか。もちろん、私たちはもともとオリジナルです。それは言うまでもありません。

したがって、あなたが気づいていない、あなたならではのオリジナリティを発揮するためには、まず、理想とする人、モデルとなる人をモデリングします。モデリングのポイントである、①身体②言葉③視点の3つをまねていきます。徹底的に、まねることをします。
表面的には、同じように言動・ふるまいをまねていきますが、内側の意識や視点がまったく異なります。この違いが大きな成果を生むのです。そして、最終的には、型(モデル)から出て、自分なりのオリジナリティにつながっていくことでしょう。

また、モデリングは、理想の人をめざすだけでなく、自分自身のうまくいっている場面をモデル(望む状態)として、活用することもできます。自分のビデオを撮り、うまく話せている部分を抽出(観察)して、それをモデルとします。

映画「マーガレット・サッチャー鉄の女の涙」の中で、サッチャー元首相が、演説の練習する場面が描かれています。彼女は、話し方に致命的な問題を抱えていました。声が甲高く、聴衆には、雑音のように聞こえてきます。聴衆に声を届けることができなければ、選挙は戦えません。そこで、話し方のトレーニングが始まります。

自分の演説しているビデオから、低音で安定感のある話し方をしている部分を見つけて、その部分をモデルとして、何度となく練習されました。

そして、土台となる大切な考え方は、成果=スキル(技術)×状態です。話す技術はもちろん必要ですが、それ以上に、自分の状態や場の状態が成果につながるのです。

2006年にアメリカ・セントルイスで開催された国際コーチング連盟(ICF)グローバル・カンファレンスに初めて参加した時のことです。2日目の基調講演のリン・ツイスト氏の話を聞いていると、話の詳細は理解できないにもかかわらず、感動で涙を流しました。
それは、話し手であるリン・ツイスト氏の状態(感情やあり方)が聴き手に伝染したからだと言えるでしょう。自分の状態(感情・あり方)が相手に、影響を与えます。それは、その人だけのオリジナリティに他ならないのです。

まとめ

経営者、リーダー、管理職、教師、講師、トレーナーなど、人前で話す機会のある人に必須のプレゼンス(存在感)。
コーチの基本スキルの一つである「伝える」を圧倒的な違いを生む違いを「プレゼンス(存在感/影響力)」という観点でまとめてみました。

話す機会が多いリーダーの方たちの多くは、「何を話そうか?」に意識が向いているようです。それは、とても重要なことで自然なことです。ただそれだけでは、うまくいきません。
今回は、理想に近づくための具体的な方法についてお伝えしました。

いかがでしたか?

最近、私生嶋も英語プレゼンテーションの練習で上記ご紹介した方法を徹底的にやりました。2019年5月14日(火)日本時間18:00〜19:30に、ロシアのWebinar(Zoom)で90分、Weメソッド®コーチング(チームコーチング)をロシア人コーチ達に英語で紹介しました。
理想と全然違う自分のビデオを見て愕然。。。
何回もモデル(手本)のビデオを見て、自分の英語プレゼンテーションをビデオに撮りました。
英語は急には上手にならないので、当日は、プレゼンス(存在感・影響力)をとても意識しました。

英語は下手でも、日本語でプレゼンテーションするときと変わらないプレゼンス、あり方を、笑顔で、声のトーンに変化をつけ、体を使って表現して、無事終えることができました。

一般的に、日本人は、英語ができないと劣等感で普段の自分でいられない傾向があるように感じます。
言葉が話せなくても自分は自分のプレゼンスを発揮できますよね。
ぜひ、参考にしてみてください。

「どうしたら「存在感」「影響力」を発揮できるのか?①」はこちら

記事の著者

生嶋 幸子Sachiko Ikushima

  • ホールシステムコーチング®共同開発者
  • 国際コーチング連盟マスター認定コーチ(MCC)(関西女性初)
  • ホールシステムコーチング®認定プロフェッショナルコーチ

株式会社コーチ・アイエヌジー 代表取締役
自社開発したホールシステムコーチング®が2014年国際コーチング連盟(ICF:本部アメリカ)からコーチ・トレーニング・プログラム(ACTP)として日本で3社目に正式に認定される。2000年よりコーチとして活動。エグゼクティブコーチング、企業向けプロジェクトコーチング、コーチ養成スクールなどを中心に人と組織の変革を行う。
2017年国際コーチング連盟グローバル・カンファレンス(ワシントンD.C)でアジア人唯一のスピーカーを務める。