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どうしたら「存在感」「影響力」を発揮できるのか?①

2019.06.01

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経営者、リーダー、管理職、教師、講師、トレーナーなど、人前で話す機会のある人に必須なプレゼンス(存在感/影響力)。

プレゼンス(英語表記)presenceとは、デジタル大辞泉によると存在。存在感。
特に、軍隊・国家などがある地域へ駐留・進出して軍事的、経済的に影響力をもつ存在であること。

あなたの理想とする話し方やプレゼンテーションは、どのようなものでしょうか?
憧れの人とあなたとの違いは何でしょうか?
あるいは、自分の理想と現実の違いは何ですか?

コーチの基本スキルの一つである「伝える」。この違いを生む違いを「プレゼンス(存在感/影響力)」という観点で見ていきましょう。

1.どうしたら影響力のある「あの人」のようになれるの?

「どうしたら、○○さんのように人前で上手に話せるようになれるのですか?」

研修の講師などをしていることもあってか、よくこんなご質問をいただきます。
ひょっとすると、あなたも、憧れの人のように話せるようになりたいと思ったことがあるかもしれませんね。あなたに影響を与え、人生を変えるような感動のスピーチ・話をした人を見て、自分もそうなりたいと思ったことがおありの方も多いでしょう。

そして、自分なりに、その人をまねてはみたけれど、うまくいかなかったという経験をお持ちの方もいるのではないでしょうか?
それとも自分なりに試してみて、自分には無理だと、もうあきらめてしまったという方もいるかもしれませんね?

仕事で、人前でお話する機会がある方はもちろんですが、伝えることを専門にしていない一般の方々でも、自分の思いを周りの人に伝える必要に迫られたり、自らの考えを発信していきたいという人は多いことと思います。

どうしたら、憧れの○○さんみたいになれるのでしょうか?
この章では、人前でうまく話すにはどうしたらよいのか?とお悩みの方、または、さらに影響力のある話し方をするにはどうしたらよいか?とお考えの方のために、ヒントになる方法をお話します。

2.違いを生む違いの見つけ方

憧れのあの人と自分との違いは何だろう?
あるいは、理想の自分像と現状の自分との違いは何だろう?って考えたことありませんか?

「あの人は特別で、自分には到底、手の届かない世界にいる」と感じる人と自分の違いは何なのでしょうか?

違いは何かに意識を向けることは、とても良いことです。
ただ、気をつけてください。あなたは、あなたです。同じことをする必要はありません。
憧れの人をまねたところで、あなたは、憧れの人ではなく、あなたなのですから。ものまねタレントさんは、オリジナルの人をまねていますが、その人ではありません。

あなたにも、あなたの持ち味があります。ですから、「憧れの人に少しでも近づきたい」そう思っているのなら、その人の良いところを自分に取り入れて、自分の幅を広げることを考えてください。

真似するだけではなく、自分のオリジナリティ(独自性)を生み出すのです。
そして、そのためには次の3つのステップが必要です。

(1)観察によって、結果の違いを生む部分を発見すること
(2)モノマネではない、真似をすること
(3)オリジナリティを発見し、自分のものにすること

これから一つずつお話しをしていきます。

まず始めにすることは、自分とその人との違いについての観察です。しかし、ただの観察ではその違いを明確には、なかなか掴めません。ただ、見るのではなく、明確な違いを見つける観察のしかたが必要です。
微細な観察力が違いをつくります。卓越者と呼ばれる人たちは、並はずれた観察力を持ち合わせています。

私は、人材育成という仕事に携わり、20年以上のキャリアを積み重ねる中で、数々の卓越した講師を観察してきました。おもしろい話し方をする人、難しい事柄をさまざまな身近な事例を織り交ぜて興味を持たせ巻き込んでいく人、場の雰囲気をすぐに変えていく人など、様々です。
そこで、わかったのは観察の過程には、3つのステップがあることです。

まず、自分を客観的に観察することからはじめます。次に、憧れの人を観察します。それから、憧れる人と自分の違いを明確にしていきます。そうすると、漠然としていた何かが、つまり、憧れの「あの人」との明らかな違いが明確になってきます。そして、何をどのようにすればよいのかが掴めます。

では、実際には、どのようにすればいいのでしょうか?事例をあげてお話します。
あるリーダーの方のプレゼンテーションのコーチをしていたときのお話です。その方は、立場上、会議や朝礼でメンバーにお話しする機会が多い方です。

大勢の前で話をすると「伝えているが、伝わらない」という悩みをお持ちでした。自分としては、いつも通り自分のペースで、ポイントを強調して、話をしているものの、相手の反応が薄いようです。一対一で話をするときは、こちらの言いたいことが伝わっているのを実感できるが、大勢の聴衆の前では、自分自身も納得する話ができていないとお感じでした。

このような場合は、ビデオで自分が話している場面を録画するのが有効です。ビデオの録画によって、客観的に自分で、自分の姿を見ることは、プレゼンテーションの練習を重ねることや誰かに的確なアドバイスを受けること以上に、自分に何が必要かという気づきを必然と、もたらしてくれます。

ところが、「ビデオを見るだけでは、次に、具体的にどうのようにしたら良いかわからない」というお声を聞くことがあります。そういうときは、理想の人、憧れの人をモデルとして、ほしい結果(アウトカム)を明らかにして、自分との違いを見つけていきます。ビデオ撮りをしたものを「どうなりたいのか?」という得たい結果(目標・アウトカム)と照らし合わせて、ギャップを明確にします。あるいは、自分が強化したいところを探究していきます。

ビデオを撮る機会をつくることができない人は、他者から自分のプレゼンテーションや話し方に、フィードバック(意見・感じたことを言う)をもらうことも有効です。他の人から意見をもらうのは怖いかもしれませんが、現在位置がわからなければ、目的地に行くことは、困難だと言えるでしょう。

ある販売会社さんでは、お客様への商品説明(プレゼンテーション)のロールプレイングをビデオ撮りして、家族からフィードバックをもらって、話し方や対応の改善に努めていらっしゃいます。専門知識のない一般の方からのフィードバックです。それも家族からです。勇気がいるかもしれません。親の面目丸つぶれにされては困りますよね。

中には、子どもから「お父さん、何を言ってるのかわからない。これじゃあ、売れないよ」と愛あるフィードバックをもらわれた方もいます。どっひゃーーーんですね。

営業マンは、常々、会社から言われています。「お客様にわかりやすい言葉で話すように。横文字や専門用語は使わないように。お客様は、それどういう意味ですか?と聞きづらい方もいらっしゃるから」と。ですから、彼は、自分の基準では、横文字や専門用語は使わずに話していたつもりでした。でも、自分ではやっているつもりでも、できていなかったというわけですね。

3.モデリングって、単にまねることではないの!?

観察過程が終われば、次にすることは、「まねる」ことです。
学ぶは、「まねる→まねぶ→まなぶ」が語源です。
実践心理学NLPでは、まねることをモデリングすると言います。

何をまねるといいのでしょうか?

モデリングする前に、今一度、「どうなりたいのか?」という得たい結果(目標・アウトカム)明らかにする必要があります。

あなたはどんな人に憧れますか?その人は、どんな要素を持ち合わせているのでしょうか?
話がわかりやすいのでしょうか?掴みがうまく、会場を沸かすことができるのでしょうか?
それともむずかしいことを簡単な例えで、明快に伝えてくれるのでしょうか?
あなたの理想とする話し方やプレゼンテーションは、どのようなものでしょうか?

それをもう一度、具体的にしましょう。

4.伝説のモデリング

理想とする人をモデルとして真似ることで成果を生んだ例として、伝説のモデリングの話があります。

1972年頃、カリフォルニア大学サンタクルーズ校の学生であったリチャード・バンドラー博士のグループが、20世紀最大の心理療法家と称されるミルトン・エリクソン博士をモデリングしたことは、伝説のモデリングとして語り継がれています。

彼らは、他の医者や治療家たちがお手上げだった患者さんを、一瞬で治すミルトン・エリクソンのずば抜けた卓越性を分析することは、できませんでした。最終的に、彼らは卓越性を分析して、誰もが使えるように言語化してくれましたが、最初は、客観的に違いを見つけることができなかったのです。

そこで、リチャード・バンドラーたちは、最初にエリクソンが行っていることを理解してから、実際に行動するのではなく、理解する前に、言動をまねることから始めたのです。これは、自分と憧れの人との違いについて、認識や分析ができないときの方法です。身体の使い方をまねることで、その人の視点やその人の考え方、その人が使っている言葉(外側に聞こえてくる言葉と内側で話している外側には聞こえてこない言葉)が、不思議なことに、だんだんとわかってきます。

柔道の元オリンピックの金メダリストがテレビ番組でのインタビューを受けていました。「金メダルを目指している私は、尊敬する大先輩の金メダリストの動きをまねて、まねて、練習した。そして、柔道を離れた普段の立ち居振る舞いに至るまで先輩をまねていた。先輩の話し方から胸を張った姿勢、手を大きく振って歩く歩き方までもまねていた」とおっしゃっていました。守破離の守、「ひたすら教えを守り、学ぶ」を徹底的に実践されていました。

「守破離(しゅはり)」の言葉をはじめて使ったのは、室町の三代将軍足利義満の時代に、
「能」を育て上げた観阿弥、世阿弥親子だったとのことです。
現在は、能だけでなく、歌舞伎や狂言といった日本の伝統芸能、剣道や空手など武道の世界でも守破離という言葉が広く使われ、今日では、どの道においても同じようない意味合いで使われています。

話す機会が多いリーダーの方たちの多くは、「何を話そうか?」に意識が向いているようです。それは、とても重要なことだと感じます。でも、それだけではないのです。

コーチしていたリーダーの方がお話されている様子をビデオ撮りしたものを見て、お互いにフィードバック(意見・感じたことを言う)していたときのことです。自分としては、いつも通り自分のペースで、ポイントを強調して、話をしているものの、相手の反応が薄いとお感じの方です。

自分のビデオをご覧になり、長い沈黙「・・・・・」の後、その方は、おっしゃいました。
「ちょっとショックです。これでは、伝わらないはずだ」

ビデオには、聞き手(相手)の反応や手ごたえがなくても、一方的に会話を展開されている姿が映しだされていました。そして、相手の反応が薄いために、どんどん声が大きくなって、同じお話を繰り返しされています。もし、私が部下なら、正直、ずっと聞いているのは、つらいなあと感じます。一対一の場合は、随時、聞き手(相手)に確認しながら、双方向の会話を展開されています。ビデオは、正直です。直球で、自分に必要なこと、改善策をフィードバック(意見・感じたこと)してくれます。

ところで、先ほどの子どもから「お父さん、何を言ってるのかわからない。これじゃあ、売れないよ」と言われた販売会社の営業マンは、どこが具体的にわかりにくいかを配偶者や親、子どもからの忌憚のない意見をもらい、それを営業に活かし、営業成績がトップクラスになられました。憧れの人との違いを明確にするには、まず、自分でビデオの自分の姿を観察し、さらに、第三者の視点からの観察をフィードバックしてもらうことです。

フィードバック(意見・感じたこと)を活かすかどうかの取捨選択は、その人自身にあります。しかし、その前に、相手からの自分に対するフィードバックを反論せず聞くことができるかどうかで、成果が変わってきます。

したがって、客観的に観察することは、モデリングです。

「今までに、ビデオ撮りはしたよ」という方も大勢いらっしゃると思います。あるいは、「それなら、今までにやったことがあるけど、それほど効果的ではない」と思っていらっしゃるかもしれません。
実践心理学NLPのモデリングは、モノマネではありません。ただのモノマネだと思っていませんか?単に言動をまねることではありません。プレゼンテーションだけではなく、新しいことをはじめるときにもモデリングは使えます。一から自分で新しいしくみや、やり方を行うのは、時間がかかりそうでむずかしく感じます。

リチャード・バンドラーたちがミルトン・エリクソンをモデリングしたように、既にうまくいっている人をモデリングした方が短い時間で、最大の成果を手に入れることが可能になるでしょう。

まとめ

経営者、リーダー、管理職、教師、講師、トレーナーなど、人前で話す機会のある人に必須のプレゼンス(存在感)。
「どうしたら「存在感」「影響力」を発揮できるのか?①」では、コーチの基本スキルの一つである「伝える」を圧倒的な違いを生む違いを「プレゼンス(存在感/影響力)」という観点でまとめてみました。

いかがでしたか?

最近、私生嶋も英語プレゼンテーションの練習で上記ご紹介した方法を徹底的にやりました。2019年5月14日(火)日本時間18:00〜19:30に、ロシアのWebinar(Zoom)で90分、Weメソッド®コーチング(チームコーチング)をロシア人コーチ達に英語で紹介しました。
理想と全然違う自分のビデオを見て愕然。。。
何回もモデル(手本)のビデオを見て、自分の英語プレゼンテーションをビデオに撮りました。
英語は急には上手にならないので、当日は、プレゼンス(存在感・影響力)をとても意識しました。

英語は下手でも、日本語でプレゼンテーションするときと変わらないプレゼンス、あり方を、笑顔で、声のトーンに変化をつけ、体を使って表現して、無事終えることができました。

一般的に、日本人は、英語ができないと劣等感で普段の自分でいられない傾向があるように感じます。
言葉が話せなくても自分は自分のプレゼンスを発揮できますよね。
ぜひ、参考にしてみてください。
「どうしたら「存在感」「影響力」を発揮できるのか?②」では、理想に近づくための具体的な方法について見ていきましょう。

記事の著者

生嶋 幸子Sachiko Ikushima

  • ホールシステムコーチング®共同開発者
  • 国際コーチング連盟マスター認定コーチ(MCC)(関西女性初)
  • ホールシステムコーチング®認定プロフェッショナルコーチ

株式会社コーチ・アイエヌジー 代表取締役
自社開発したホールシステムコーチング®が2014年国際コーチング連盟(ICF:本部アメリカ)からコーチ・トレーニング・プログラム(ACTP)として日本で3社目に正式に認定される。2000年よりコーチとして活動。エグゼクティブコーチング、企業向けプロジェクトコーチング、コーチ養成スクールなどを中心に人と組織の変革を行う。
2017年国際コーチング連盟グローバル・カンファレンス(ワシントンD.C)でアジア人唯一のスピーカーを務める。