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異文化コミュニケーション理解「英語で言っても伝わらない」

2019.05.01

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日本社会のグローバリゼーションが加速する中で、私たち日本人が日本語文化背景から陥りやすいことばの罠にについてまとめました。

1.ハイブロー病!?聞きなれない外来語遣いに
優位性を認める背景

ハイブロー病って聞いたことがありますか?

ハイブロー【highbrow】とは、デジタル大辞泉によると、
(1)学問・教養のある人。知識人。また、知的で高級なさま。
(2)学問・教養を鼻にかける人。

私たちは、日本が遥か昔から大陸の文化と共に漢字としての中国語を言語の中に取り入れてきました。
普段、会話の中で、どのようなことばを使っているかを思い出してみましょう。

どんな時に和語(かなや訓読みであらわす単語)を使い、どんな時に漢語を使っていますか?

私たちは家庭での会話、友達とのカジュアルな会話、子供の頃から親と話す時と先生と話す時、社会に出て職場では上司・先輩・同期・後輩とのコミュニケーションの場面やTPOそして話しことばに書きことば、更には相手が誰かによっても和語と漢語を複雑かつ巧みに使い分ける習慣を備えてきています。

また、ビジネスの場にフォーカスすると、取引先や上席に対してはより漢語の量を増やしたり、ビジネスでトレンドになったことばを多用したりする傾向があるようです。

興味深いことにこの慣習はさかのぼると平安時代から特に男性の間で始まっているようです。
外来語、当時は中国語、漢語が歌に入っていることで女性から良い返事をもらいやすかったからだそうです。
女性の方も意味は問題にせず、知らない言葉を使っていることで教養や身分の高さを認めていたようです。

新入社員の場合、早く一人前と認められたいことから先輩社員の使うことばを多用したり、「要するに・・・と認識しています。要は・・・という理解でよろしいですか。」とった客観表現を使ったりするのを私の職場では目にします。
「・・・」の箇所は相手が言ったことばがそのままなので違和感があります。
早く認められたい、偉く思われたい気持ちはわかりますが、、、新人君ごめんなさい。

2.英語で言っても伝わらない

おもしろいことに日本語のこの不思議な慣習が、英語を使う時も邪魔をしてコミュニケーションを困難にしていたクライアントのLさんの事例をここでは紹介します。

Lさんは韓国人で日本の工学大学を卒業し、ある電子機器の設計会社に初めての外国人社員として入社しました。電子回路の設計をする会社とは言え、あまりに人の会話、声の聞こえない職場に当初戸惑ったそうです。
仕事の集中に妨げになるからなのか隣の席の人ともチャットで会話をする状態、無音のオフィスとのこと。
日本語は書くより話す方が得意なLさんにとっては息苦しい職場で、ちょっとのことを確認するにもチャットで苦労していたそうです。

ある日、先輩社員に自分の設計したものを見てもらいたくて相談したときのこと、その先輩に一言「美しくない!」と言われ、食い下がって「美しくないってどういう意味ですか?」と聞いたところ、「ビューティフルじゃない!」と返ってきて、ずいぶんと凹んでいました。

何度も書き直して見てもらっても「美しくないものは美しくない」と返事が返ってくるだけで、
芸術でもないのにこの先輩は何を言っているんだろう。
自分に教えたくない。意地悪をしているのかと悩んでいました。

「Lさんにとって美しいとはどんなものなんですか?」
「芸術品とか風景とか女の人(笑)」
「そうなんですね。では女の人なら具体的にどんな人が美しいんですか?」
「色が白くて、やわらかいやさしい笑顔の人ですかね・・・」
「ふ・・・ん。それから」
「あっ、そうですね。先輩に具体的にどうなら美しいか聞けばいいんですね。
 そうか、よくわからない答えでちょっとイライラして考えていませんでした。
 明日訊いてみます。」

Lさんからの報告によると、具体的に質問したところ、左右が対照ではない、配電バランスが悪いなど待っていた答えをもらえたそうです。

3.コミュニケーションの本来の目的に戻る

韓国人のLさんに「ビューティフルじゃない」と言った先輩の頭には外国人=英語という回路があったのでしょうか。これはまた別の機会のトピックとして置いておきます。

Lさんの事例からわかることの一つは、私たちが「ことば」とは意味だけでなく、個々の概念で使っているということです。その概念を共通のものとして当たり前のように使っているため、コミュニケーションに支障をきたしている場合がよくあります。
こんな時は、概念のすり合わせをすることでコミュニケーションが円滑になります。

またLさんからは、後日談としてその先輩の方が言った次のようなコメントを聞かせてもらいました。
Lさんに教えていると、自分でも何となく長年の勘でやっていたことがはっきりすると言ったそうです。
見て覚えろと言うより、わかることばで伝えることで自分が無意識にしていたこともはっきりして、有効だと気づいたとのことでした。

まとめ

昔、ブラジル人の友達と英語で話している時、なるほど!思ったことがありました。とっさに彼女がことばを忘れたのか「Photo Machineはある?」と訊いてきました。「Cameraね。あるよ!」 「日本人だからやっぱり持ってるよね!!」

たわいのない会話ですが、たとえばカメラということばを忘れたり、わからなくても、何を言いたいかの目的があるので、近いことばや表現を変えて伝えることができるんだとその時とても感心しました。
コミュニケーションの目的は相手に意図したものとして伝わることです。
もし、コミュニケーションの困難を感じる時があったら、より平易なことばに変えて、風通しをよくしてみませんか。新しい風景がきっと待っています。

記事の著者

藤生 あゆみAyumi Fujiu

  • WSCコークリエイター
  • 国際コーチング連盟プロフェッショナル認定コーチ(PCC)
  • ホールシステムコーチング®︎認定プロフェッショナルコーチ

美大を卒業しアパレル業界に就職後、渡英。そこで対話を通して学ぶアプローチに理想を見出す。日本に導入するため帰国し、日本語教員になる。30歳で教育ディレクターに就任し、対話型教育モデルをつくるため教員養成・教材開発に情熱を注ぐ。10年ディレクターを務める間にコーチングに出会い、自校に導入。2003年よりコーチとしての活動も開始。異文化コミュニケーションへの見識を活かしユニバーサルチームコーチングを実践中。